「鉄道デザイン」プロはここまで考え抜いている GKデザイングループに直撃インタビュー

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――競争に打ち勝った価値のあるものだというところが、対外的にもパフォーマンスできるということですね!

山田:コンペで勝つことによって、デザインの価値が世の中に伝わっていくじゃないですか。そうじゃないとビジネスとして花を咲かせられないのです。GKはビジネスとしてデザインだけで生きていこうって決めたわけです。

――それって、確かにすごいことですね。鉄道のデザインはいつから手がけているのですか?

GKデザイン機構の山田晃三相談役(撮影:梅谷秀司)

山田:GKは大阪万博(1970年)のときに初めて公共交通のデザインをしています。

そのときの仕事は会場内のモノレールです。あと、会場のストリートファニチュア……街の中にあるバスストップとかベンチ、ゴミ箱、照明、サインといった、人の移動環境に必要なもののすべてを総合的にデザインしました。ただ形だけじゃなくて人々の導線を考え、配置の計画とか、それをずっと研究して展開してきました。

こうして都市環境デザインの領域が広がり、例えば新宿のサインリング(西新宿)もGKによるものです。信号機や照明、サインなどを1つの形の中に収めて、それと合わせて周辺も総合的にデザインしています。

鉄道は地域を象徴するもの

――このサインリングは、俯瞰で写真を撮りたくなるというか、私がディレクターだったらロケに使いたい、上から絶対1カット入れたい、と思いますね。現在、公開が始まったばかりの「天気の子」が話題の、新海誠監督のアニメ映画「君の名は。」でも描かれています。今もなお、聖地巡礼されるファンも多いとか!

北嶋:この場所の象徴として存在して、どこだか一目でわかるわけですよね。都市の装置がその場所を顕在化するのです。

山田:その流れから言えば、自動車と違って鉄道車両は、見ただけで「あ、あの街を走ってる」という、地域を象徴するものじゃないですか。だから地域のありようとセットでデザインしていかなきゃいけない。

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