大人がこぞってハマる最新恐竜学の「新常識」 始祖鳥は実は大空を飛び回らなかったかも

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――二足歩行への進化というと、人類と同じでこれまた親しみが湧きますが、肉食恐竜には二足歩行が多いように思います。どうしてでしょうか?

まず爬虫類は基本的には肉食であり、最初に誕生した二足歩行の恐竜も肉食でした。つまり肉食という食性が先にあって、その後、雑食性や草食性を獲得していったのです。草食恐竜は、肉より消化しにくい植物を消化するために、肉食よりも長い腸などの消化器官を進化させる必要がありました。

ジュラ紀で最強の肉食恐竜とされるアロサウルスは二足歩行ですが、獲物に俊敏に素早く迫るためには、二足歩行のままの方がよかったのではないでしょうか。

始祖鳥は本当に飛べたのか?

――恐竜は羽毛をもつなかで、卵を抱卵してあたためていた種もいたそうですが、恐竜から鳥への進化というのは「飛ぶ」という特性の獲得ですよね。始祖鳥(アーケオプテリクス)は果たして飛んでいたのでしょうか?

現在の鳥も、卵を主にオスが抱卵するという点で、恐竜からの特性が引き継がれていますね。始祖鳥がどこまで飛べたのか、ということですが、始祖鳥の化石を調べてみると、「竜骨突起(りゅうこつとっき)」のある胸骨という骨がなく、この骨がないと強くは羽ばたけないのです。

鳥が飛べるのは、胸肉(大胸筋)でバサッと翼を下げて、ササミにあたる筋肉(小胸筋)で翼を上に戻すという繰り返し運動が必要です。それを可能にするのは強靭な筋肉ですが、この筋肉量を確保するためには胸骨に竜骨突起という板状の突起が必要で、そこに大胸筋と小胸筋が付着しています。

なので、始祖鳥の飛び方というのは、枝から枝へ飛び移る程度で、力強く空をはばたくということはできなかったのではないでしょうか。また、始祖鳥がそのまま鳥になっていったのではなく、枝分かれのなかのひとつに始祖鳥がおり、現代の鳥類は始祖鳥の直接の子孫ではないとされています。

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