ヒトが「ネアンデルタール人」を絶滅させた ヒトより脳も大きく、ガッシリしていたのに

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「ネアンデルタール人」を絶滅させた人類の大きな特徴は、直立二足歩行だ(写真 : ABC / PIXTA)
700万年前、人類はチンパンジー類と分岐した。初期人類、アウストラロピテクス属を経て今に続くホモ属へと進化。私たちの祖先にはどんな種がいて、どのように生き、絶滅していったのか。『絶滅の人類史』を書いた分子古生物学者の更科功氏に聞いた。

──私たちホモ・サピエンス(ヒト)が生き残った最後の種ですね。

人類は名前がついているだけで25種ありますが、実際は100種くらい存在したかもしれない。

人類の大きな特徴は、直立二足歩行と犬歯(牙)の縮小です。直立二足歩行を始めた頃、アフリカは乾燥化が進み森林が減少していた。類人猿も木登りが下手な個体は餌を求めて森から出ていかざるをえない。疎林や草原に追い出された個体の中で生き残ったのが初期人類です。もともと直立二足歩行はその不便さゆえに人類でしか進化しませんでした。

優秀だから勝ち残ったわけではなく、追い出された

──人類は優秀だから勝ち残ったわけではない?

ええ、力が弱く木登り下手な人類祖先は、ゴリラやチンパンジーなど類人猿に負けて豊かな森林から追い出され、仕方なく疎林や草原に出てきた。決して希望に満ちて草原へ旅立ったのではない。

直立二足歩行の最大の欠点は走るのが遅いことです。草原は肉食獣に襲われやすい場所。そこへ出ていくことは死を意味するわけだから、追い出されたという表現でいいと思う。ゴリラもチンパンジーも人類より力が強い。人類には牙もないから戦ったら死ぬ。こちらが出ていくしかないですよね。

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