実は川重より巨大、三菱電機の「鉄道ビジネス」 車両を造らないのに鉄道関連売上高2000億円

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同社の連結売上高は約4.5兆円。産業用ロボットをはじめとするFA(ファクトリーオートメーション)システムや自動車用機器、エレベーター、電力システム、空調冷熱システムなどが経営の大きな柱であり、規模的に鉄道関連はメイン事業とはいえない。だが、国内で断トツのシェアを武器に海外での取引拡大を掲げ、鉄道関連を「成長牽引事業」の1つに位置づけている。

車両を造らない三菱電機の名前が、鉄道車両メーカーの鉄道売上高ランキングに登場することはない。しかし、車両メーカーの国内1位は日立製作所(2018年度の鉄道事業売上高6165億円)。2位は川崎重工業(同1246億円)。3〜5位の近畿車輛、総合車両製作所、日本車輌製造は1000億円を下回る。つまり、三菱電機は鉄道関連の売上高規模が車両メーカー大手の川重を大きく上回り、実質的に国内2位の鉄道メーカーなのである。

車両造らず「国内2位」の理由

ではなぜ、車両を造っていない三菱電機が、鉄道関連だけでそれだけの事業規模を実現できるのか。その理由として、日本における車両メーカーの特性がまず挙げられる。

業界首位の日立は、車両と電機品のいずれも自社で製造しており、日立製の車両は電機品も日立製というケースが多い。一方、川重などほかの車両メーカーは車両組み立てが主体で、電機品の大半は他社からの調達だ。そこで頼りになるのが三菱電機。つまり同社は自身が車両メーカーではないからこそ、多くの車両メーカーと幅広く付き合えるわけだ。

また、主電動機、ブレーキ制御装置などの機器や列車統合管理システムは、同じメーカーの製品で統一するほうが信頼度が高まるため、幅広い製品ラインナップを持つメーカーほど有利になる。その結果、さまざまなメーカーの車両に三菱電機の製品が数多く使われ、「三菱電機は目立たないようにうまくやっている」と競合他社が歯ぎしりするほどだ。

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