日本電産はボッシュのようなメーカーになる 永守社長に聞く、日本電産の生きる道(下)

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売上高3兆円の後は完成品に進出

――次の市場に照準を合わせたとしても、モノになるまで10年くらいはかかっていますよね。次にターゲットとする市場はどのようなところですか。

次は鉄道、船舶、飛行機といったところ。ガソリンで動いているものは、すべてモーターに変わっていくと思っている。自動車もそう。次は鉄道、飛行機と行くだろう。

ただ、自動車の市場は大きい。車載向けだけで、売上高1兆円くらいの規模に育つだろう。まずモーターメーカーは電装メーカーに変わる。モーターにECU(電子制御装置)が付くとか、モーターに減速機が付くとか、完成品まではいかない半完成品、7歩(ぶ)完成品を作ることになるだろう。それによって単価が上昇し、売上高も上がっていく。

日本電産が目先の目標にしているのがボッシュ、あんな感じの電装メーカーだ。売上高3兆円くらいまではボッシュを目指す。しかし、その先はいよいよ完成品を狙う。

やはり売上高10兆円は、部品だけを作っていたのでは狙えない。ボッシュでも売り上げの3割くらいが部品で、7割が完成品。ただ、利益はほとんど部品で稼いでいる。

現在、われわれがいちばん力を入れているのはトップライン、売上高を伸ばすこと。今までは利益率の改善をやかましくいってきたが、今2014年3月期に入ってから利益率は少し落ちてもいいから売り上げを伸ばすという戦略に変わっている。利益率のことはあまり頭に入れず、まずは売り上げを伸ばそうと。

1000億円の売上高で20%の利益率を確保するより、2000億円の売上高で利益率は15%でいい。そのほうが利益の額は大きくなる。そのように転換している。シェアを上げるとか、新しい分野に出ていくとか、量を伸ばす方向に経営の視点を変えているのだ。

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