ウエアラブル端末、普及はアップル次第? 普及にはまだ時間がかかる

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1月9日、米ラスベガスで開かれた世界最大の家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」で、ウエアラブル端末が大きな注目を集めた。写真はソニーの新型スマートウォッチ。7日撮影(2014年 ロイター/Steve Marcus)

[ラスベガス/シンガポール 9日 ロイター] -米ラスベガスで開かれた世界最大の家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」で、今年大きな注目を集めたのがウエアラブル端末。メッセージをチェックできる腕時計型端末や動画を撮影できる眼鏡型端末など、さまざまな製品が披露された。

しかし、会場を回った多くの業界幹部やアナリストらの見方によれば、現在提供される製品のデザイン性や価格、機能を考えると、消費者がすぐに飛びつくことはなさそうだという。

今回展示されたウエアラブル端末のほとんどが、利用者にとって独創的だったり魅力的といえるメリットに欠け、技術を新たな端末に詰め込んだだけの下手な試作のようだといぶかる声もある。

会場でフィットネス用バンドや時計などのウエアラブル機器をカメラに収めたという調査会社バーンスタインのアナリスト、ステーシー・ラスゴン氏は、「20枚の写真を撮ったが、どの製品がどの会社のものか区別できない。みんな同じに見える」とコメント。ウエアラブル端末は素晴らしいアイデアだが、まだ多くの実験が必要だと語った。

ソニー<6758.T>、韓国サムスン電子<005930.KS>、米クアルコムは、それぞれ新型や最近発表したスマートウォッチを披露。多くが携帯電話との連携型で、メッセージや予定を確認できるものだ。また、運動量などを記録できることで人気の「Fitbit」のようなリストバンド型も数多く見られた。

米インテルのマイク・ベル副社長は「ウエアラブル端末が注目に見合うためには、真の解法が必要だ。それは技術の問題ではなく、その技術でこれまでにできなかった何が可能になるのかということだ」と強調した。

同社は6日、心拍数を計測できるイヤホンの試作品を発表。また、スマートブレスレットの開発で米百貨店バーニーズ・ニューヨークと提携することも明らかにした。

業界がこぞってウエアラブル端末に熱狂する背景には、スマートフォンやタブレット端末市場が鈍化している状況もある。2013年に39%拡大した世界のスマホ市場だが、調査会社IDCによると、今後4年間の成長ペースは年間18%に鈍化し、価格も徐々に下落すると予想されている。昨年は54%伸びたタブレット端末出荷も、今年は22%増に減速する見通しだ。

IT企業の幹部らは、多くの消費者がウエアラブル端末の可能性に興味を抱いているが、慎重でもあると指摘する。調査会社のヤンキー・グループが昨年12月に行った調査では、フィットネス用端末に200ドル以上出すと回答した人は10%以下。

また、クラウドサービスのシトリックス・システムズが委託し、ウェイクフィールド・リサーチが行った昨年11月の調査によると、91%がウエアラブル端末に高い興味を示したものの、61%が購入予定がないと答えた。

ウエアラブルカメラを製造する英OMGライフのサイモン・ランダール氏は、当時勤めていたノキアが10年以上前にカメラ付き携帯を発表したものの、反響はいまひとつだったと振り返る。同氏は「新しいものが多くの人に受け入れられるには時間がかかるが、その中にメリットが備わっていれば、いずれ広まっていく」と話す。

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