パラスポーツを全国小中高生が学ぶ授業の深み あすチャレ!Schoolの取り組みとは

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「パラスポーツがおもしろくて、楽しくて、見たくなるような気持ちになってもらいたい。障がいのある方への見方がパラスポーツを通じて変わるようにしたい」と永尾さんはいう。こうした「体験」がそのためにはいちばん効果的だ。

車いす競争の様子(筆者撮影)

体験をしたところで、教室の戻っての講話に。このころには、児童たちも気持ちがほぐれている。

永尾さんが自身のこれまでの経験を伝える。5歳の時に原因不明の病気で歩けなくなった。小中学校のころは「だらだらと、家と学校を往復していた。何もできなくていいや、と諦めていた」という。高校に入ると、厳しい体育教師が無断で車いすの陸上大会にエントリー。「仕方がなく始めた陸上だった」が、体育館で練習すると速く走れることに「自分にできることがあると気づいて楽しくなった」という。

16年越しに獲得した銅メダル

パラリンピック出場を目標に、7年かけて1988年ソウルパラリンピックに初出場。1992年バルセロナ、1996年アトランタと連続出場したが目標のメダルに届かなかった。アトランタでは200メートルで0.2秒差の4位でメダルを逃した。2000年シドニーでは大会3カ月前にバーベルを上げる練習中に背筋を断裂して振るわなかった。

それでも「メダルを諦めずに」続け、2004年アテネでは、4×400メートルリレーに出場してついに銅メダルを手にした。最初に出てから16年かかった。

「自分を信じて諦めなかった。みなさんも、好きなことを見つけたら、諦めないで続けてください。スポーツでも、音楽でも、勉強でも、諦めずに続けると、心の中に経験という宝物がどんどん増えていきます」

永尾さん自身は「だらだら」していたころの世代が、じっと聞き、質問にも多くの児童が手を挙げた。「しっかり聞いてくれて、自分の言葉で興味があることを質問してくれた。好奇心があったのでしょう」と永尾さんは話が児童たちに伝わった手応えと印象を話した。

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