仕組み債、デリバティブ投資で多額の含み損! 大阪産業大学の杜撰な資産運用

仕組み債、デリバティブ投資で多額の含み損! 大阪産業大学の杜撰な資産運用

大学生だけで約1万人、傘下の中学、高校や大学院を含めると約1万3000人の学生を擁する「学校法人大阪産業大学」(以下、大産大。古谷七五三(ふるたにしめじ)次理事長)が、仕組み債の運用やデリバティブ取引の失敗で多額の損失を抱えていることが、週刊東洋経済の取材で明らかになった。

大産大で資産運用の総責任者を務める森山信一副理事長(大阪桐蔭高校および大阪桐蔭中学校の校長を兼務)は本誌の取材に対し、「手堅い運用をしている。多額の損失を抱えている事実はない」と言い切った。が、実態は森山副理事長の説明とは大きく異なり、学校運営の屋台骨を揺るがすものだ。

週刊東洋経済では大産大の稟議書、仕組み債やデリバティブ取引に関する証券会社作成のセールス資料、監査法人による非公表文書など数多くの証拠資料を入手。有価証券の評価に詳しい細野祐二公認会計士に分析を依頼したところ、同会計士から「今、すべてを解約すれば、100億円近い損失が出る可能性が高い」との見解が出た。

解約せずに取引を続けたとしても、現時点の為替水準のままで3月決算期末を迎えた場合、投資残高で100億円を上回る仕組み債の多くが5割以上の価値下落によって強制評価減(減損)を迫られる可能性が高い。その場合、2008年度決算が多額の赤字に転落し、学校法人の運営に支障を来すおそれもある。

私立大学の資産運用では、駒澤大学が通貨スワップなどのデリバティブ取引の失敗で、154億円もの損失を計上。キャンパスの土地・建物を担保にみずほ銀行から約110億円の融資を受ける事態に陥った。そして昨年12月18日には理事長が解任された。大産大も駒大と同様に、リスクの高い仕組み債や通貨スワップに手を出しており、昨年秋以降は含み損が膨らんでいる。古谷理事長や森山副理事長らの運営責任が厳しく問われる可能性も高まっている。

野村証券が売り込んだばくちまがいの商品

大産大は1928年に「大阪鉄道学校」として発足し、その後「学校法人大阪交通学園」へ改称。75年に「学校法人大阪産業大学」に再び改称し、現在に至る。傘下に有する大阪桐蔭高校は昨夏の全国高校野球大会で優勝を果たしている。

ところが、関西で十指に入る規模の有力大学でありながら、資産運用はずさん極まりないものだった。

手元に大産大の内部資料がある。08年1月28日に起案された稟議書で、件名は「資産運用(デリバティブ取引)について」。稟議書には次のような記述がされている。

「下記内容のデリバティブ商品を08年1月24日付で野村証券大阪支店と契約を締結いたしましたので稟申します」。

デリバティブの内容はオーストラリアドル(豪ドル)と円のキャッシュフローを交換する通貨スワップ取引で、期間は10年。1豪ドルが74円よりも円安であれば、学校法人側がキャッシュを受け取る。一方、74円より円高になると支払額が受取額を超過する。そこに3倍のレバレッジを組み込んだことから、円高が進むにつれて、支払額が急膨張していくという投機性の高い取引だ(下図参照)。

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