ますます難しくなる安倍政権の財政運営 2014年度予算案 国債費の膨張に歯止めかからず
「財政健全化と景気回復の優先順位はどちらが高いかといえば、経済成長のほうが高い。(これは)はっきりしている」(麻生太郎副総理兼財務相)――。
経済成長と財政再建の両立は可能とする安倍首相。2014年度の政府予算案は、基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の赤字幅を前年度から5兆円超改善し、新規国債発行を1.6兆円減らすとした。「2020年度のPB黒字化」の国際公約達成への道筋は依然として見えないが、「対GDP(国内総生産)比でのPB赤字を2010年度から半減する」という2015年度の目標達成が視野に入ったとして、安倍政権は自信を深めている。
前年度比5.2兆円のPB改善は、欧米のバブル景気を背景に日本もプチバブルに沸いた2007年度の6.8兆円に次ぐ水準。それを可能にしたのは、いうまでもなく消費増税である。
PB改善は消費増税によるもの
税収は、同じく2007年以来7年ぶりに50兆円の大台を回復するが、前年度比6.9兆円の税収増の中身のうち大半の4.5兆円が、安倍首相がギリギリまで最終判断を先送りし続けた消費税率の引き上げによるもの。安部政権はアベノミクスの成果を強調したいところだろうが、景気回復による法人税や所得税の伸びは、あくまでも副次的要素に過ぎない。
しかも、そうした税収見込みは、民間予測を大幅に上回る強気の経済成長率が前提だ。2014年度の実質GDP成長率見通しは、民間予想の平均が0.8%なのに対して、政府は1.4%を掲げている。
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