40代男の「TikTok」が意外に敬遠されてない理由 若者と中年をつなぐ「#おじさん」の人気ぶり

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かつてニコニコ動画に投稿されていた「踊ってみた」系動画では、プロ顔負けのダンスを見せるユーザーが人気となった。しかし、TikTokではうまいどころか、振り付けとも言えないようなゆるい動きをしている動画が多い。また、投稿された動画のコメントは全体的に荒れており、匿名で利用できるため誹謗中傷が多い点は、保護者世代には気になるだろう。

一方で、こんな意見もあった。ある男性は、「単純に若くてかわいい子が踊っているのを見ているのが楽しい。誰も知らない素人のグラビア版みたいに楽しんでいる。実はお気に入りの子もいる」と正直に答えてくれた。

また違う男性は、「子どもが利用したいというのでのぞいたのがきっかけ。自分が年を食ったのを感じるので、若い子の文化に接したら多少若返るかなと思って。1本が短いし気に入らないものは飛ばせるし、考えないでいいし気晴らしになる」と言っていた。

このように、「若い女性を見られるのが楽しい」「子ども世代が利用しているので気になる」など理由はさまざまだが、40代男性が気になる要素が多いのがTikTokの特徴だ。中年男性のユーザーが増えているのも決して不思議ではない。

若者の「TikTok離れ」が起きない理由

FacebookやLINE、InstagramなどのSNSは、「中年ユーザーの増加」が若いユーザー離れを招いた。それはTikTokにも当てはまるのだろうか?

昔から若者は自分たちがコミュニケーションする場に大人が介入するのを敬遠するものだ。例えばInstagramで、女子大生同士がリアルで付き合いのある同級生や先輩後輩とコミュニケーションしている中、そこに当事者でない大人が入り込むと、「プライベート空間に無理やり入ってきた」と思われて嫌がられてしまう。

だが、TikTokには、その心配がない。例えばFacebookは、完全に仲間向けの投稿をする場だ。またInstagramの投稿は広く他人に向けて投稿するが、ストーリーズは主に仲間内に向けて投稿する場となっている。一方TikTokでは、フォロワーは「ファン」と呼ぶ。TikTokはそもそも友だち同士でつながる場ではなく、「他人に自分を見てもらう場」なのだ。

またTikTokでは、AIによっておすすめ欄にユーザーの好きそうな動画が出てくる仕組みなので、好みでないユーザーの動画は表示されづらい。ファン(フォロワー)0の状態の新規ユーザーによる投稿も一定割合で表示されるため、40代男性のユーザーが増えるとそのような投稿も増えるが、悪目立ちするほどではない。

嫌がられるのは、むしろコメント欄に出没する40代男性だ。若い女性のアカウントのコメント欄には中年男性とおぼしきアカウントが、「かわいいね」「LINEを交換しよう」などとコメントを付けていることもあり、よくスルーされている。

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