「デジタルプラットフォーマー」とは一体何者か 「GAFAなど」と一括りにするのは大問題だ

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同様の動きは同時多発的に起こっており、インターネットを通じてプラットフォームをグローバルに広げる各社に対する課税方法などに関しても、さまざまな議論が交わされている。

事業拠点や売り上げを計上している地域からの収益に対する課税といった観点での議論もあるが、顧客の行動データを元に事業価値を高めている企業は、データを収集している地域ごとに税が分配されるべきとの意見もある。

しかし、ここではそうした議論から目線をいったん外し、デジタルプラットフォーマーと言われている企業が、それぞれどのような企業なのかをおさらいしてみたい。“GAFAなど”とひとまとめに伝えられるほど単純ではないことがわかってくるはずだ。

“善悪”といった議論をまずは脇に置き、各社がどういう会社であるかを改めて考えてみるべきだろう。

「AIの会社」へと発展しようとしているグーグル

改めて言うまでもなく、グーグルは検索をはじめとするネットワークサービスを出発点に、閲覧者の行動やコンテンツの内容に連動して掲出するネット広告を変える「行動ターゲティング」や「コンテンツ連動」の広告で伸びた企業だ。

ネット検索からは、具体的な各サイトへの流れ、あるいは滞在時間や戻って再検索で別のサイトに行くパターンなど、さまざまなユーザーの行動が反映される。近年は検索結果に対して、レストランなどの予約、移動ルートなど、検索結果から即座にサービスや商品へとつながる動線も提供しており、それらの情報を広告事業に生かすことで成長してきた。

検索市場2位のMicrosoft「Bing」は2.4%にすぎず、92.4%はグーグルである(StatCounter調べ)。

そのグーグルは現在、AIの会社へと発展しようとしている。10億以上のユーザーが存在するサービスを、グーグルは「Google Search」「YouTube」「Gmail」「Google Map」など8ブランドも保有しているため、データ収集の面で高い優位性を持っており、それを深層学習の研究開発に生かすことができるためだ。

ネット上で使われる多くの個人向け情報サービスを無償提供し、そこでの行動について相関性検出しながらデータが抽出されており、全世界で流通する約半数のスマートフォンはグーグルとの親和性が高い「Android」。

収益の約9割が広告であり、高度にシステム化されたネット時代の広告代理店というのが、グーグルの実態と言えるだろう。

GAFAの中で、最もわかりやすいのがアップルだろう。アップルはコンピューターを元にした消費者向け製品を販売する会社だ。自社が販売するコンピュータ製品(広義にはiPhone/iPad/iPod/アップル TV/アップル Watchはすべてがパーソナルコンピューターだ)の価値を高めるため、アプリや各種コンテンツを流通させるネット上のマーケット(iTunes StoreやAppStore)を運営し、その売上比率は上がってきている。

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