NGT、厚労省、日大にみる第三者委員会の不可解 不祥事になると必ず出てくる「伝家の宝刀」

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発足から現状まで手厳しい評価を受けたAKSの第三者委員会だが、独立性・中立性に関しては、ほかにもネット上などでさまざまな噂や臆測が広まっている。筆者は第三者委員会委員への取材、ないし発足記者会見の開催を依頼した。理由は「選定プロセスを含めた広報が不十分なため、ファンをはじめ世間一般の委員会に対する期待感、信頼感が希薄である」と感じたためだ。

マスメディアを通じての所信表明や、調査の指針から留意する点、また第三者委員会に参画するまでの委員の経歴などを明らかにすること。これらが委員会の調査活動を円滑にし、かつステークホルダーに安心感を与えると考えての要請である。

それでも実効性があるのはこの委員会のみ

だが結果はかなわなかった。

3人の弁護士からはいずれも「本件の第三者委員会については独立性、中立性、公正性を保つため、取材は一切(例外なく)お受けしないことにしております」との回答だった。

残念ながら、これではステークホルダーのほうを向いているとは言いがたく、久保利弁護士の指摘するような「ファンのみなさんや被害者を含むアイドルたちが納得できる結果」が得られるかどうか、甚だ心もとない。

それでも、現時点で実効性がありそうな現実的な動きとしては、この委員会の活動のみである。走りながらの改善を望むと同時に、随時チェックしていくのがジャーナリズムの務めだ。引き続き、取材や情報収集を進め、今後の推移を見届けたい。

竹内 一晴 ジャーナリスト

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たけうち かずはる / Kazuharu Takeuchi

1970年名古屋市生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。大手芸能事務所、CS演劇専門放送局プロデューサー、写真週刊誌専属記者等を経て2004年からフリー。報道・表現の自由、大学自治、韓国社会事情、カラオケ、アイドル等の記事を執筆。田島泰彦編『個人情報保護法と人権―プライバシーと表現の自由をどう守るか』に論稿掲載。48グループの推しメンは松井珠理奈(SKE48)、注目株は山田菜々美(AKB48・Team8)だが、全メンバーを公平に見ることをモットーとする。

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