社員67人、「テレビ埼玉」のクセがすごい! あふれる地元愛で埼玉県民が「テレ玉」の虜に

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テレ玉は地域情報の発信にも力を入れている。これこそローカル局の腕の見せどころだ。県の広報番組「いまドキッ!埼玉」をはじめ、県内企業の経営者などを深掘りする「埼玉ビジネスウォッチ」、県内ニュースを扱う「ニュース545」などをそろえている。

中でも中心的な存在が夕方の「情報番組 マチコミ」。主な視聴者は主婦層や年配層で、月曜から金曜まで16時30分から放送し、前半の30分はテレビ神奈川と千葉テレビ放送でも放送されている。

その特徴は視聴者との距離の近さにある。地域情報を発信する番組は以前からあったが、2016年にマチコミにリニューアルされて以降は、視聴者により身近な情報を届けるようになった。「視聴者が見てくれるのを待っているだけでなく、視聴者がいるところにテレ玉が積極的に出ていくべきじゃないか」(出口雅史編成部長)。そんな議論から生まれたのが、「毎日必ず、県内のどこかから中継する」というコンセプトだった。

埼玉県人でも埼玉のことをよく知らない

取り上げるテーマは多岐にわたる。新たにオープンした商業施設の紹介から、イルミネーションの名所、節分の豆まきイベントなど、旬のスポットを現場から紹介していく。月曜の「おとな散歩」は、元AKB48で埼玉出身の松井咲子がさまざまな市町村を歩き、地元住民とふれあい、グルメや意外なスポットを紹介する。「GO!GO!17号」は国道17号沿いをドライブし、気になる店や施設などのスポットをアポなし、飛び込みで取材する、ドライブ系街ブラコーナーだ。

さいたま市役所と住宅街に囲まれた浦和のテレ玉本社。余談だが、番組の相互放送などで協力関係にある千葉テレビ放送の本社も2階建てで鉄塔がある、非常によく似た外観だ(記者撮影)

視聴者参加型のコーナーもある。「出張!マチコミボード」は大宮駅や川越駅などにホワイトボードを設置して中継する。「私の今年の漢字は?」「自分を動物に例えると何?」「お受験エピソード」など、日替わりでテーマを設定し、道行く人々に意見を書き込んでもらう。「今日のマチコミボードはどこでやる予定ですか?」と問い合わせる熱心なファンもいるという。

これだけ日々地元を取り上げていても、ネタが尽きるということはないという。番組を担当する平野正美制作部長は「季節ごとにやるべきこと、取り上げることはたくさんあって、ネタに困っているわけではない。そもそも埼玉は、東西の移動が不便ということもあり、埼玉出身者でも埼玉のことを意外に知らなかったりする。ほかの都道府県から埼玉に引っ越してきた人はもっと知らない。そんな人たちに向けて、より身近な情報を届けていきたい」と力を込める。

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