環境問題でもモラルハザードが蔓延する中国

富坂聰氏が描き出す衝撃の現地レポート(後編)

中国の環境汚染の深刻さが増している。PM2.5の濃度が基準値を大幅に上回る北京では、スモッグが街中を覆い、マスクなしでは歩けないほどの状況に。また、浙江省温州市では河川の水を飲んだ警察官が消化器系の病気を発病し、重体になる事故も起きた。
食の安全についても、インスタントラーメンのスープに重金属が含まれていたことが明るみに出るなど、次から次へと問題が発生。空気も飲み水も、そして食べ物も危ない国で、果たして人は生きていけるのか。チャイナウォッチャー・富坂聰氏が衝撃的な中国の現状をレポートする。

前編ー中国「空気と水」の汚染が止まらない はこちら

いずれ飲み水がなくなる

環境破壊と産業の関係は、大気よりもさらに深刻だと位置付けられる中国の水質汚染の問題で顕著になっている。水質汚染の問題は、そもそも国民一人当たりの水資源量が圧倒的に不足している(世界平均の約3分の1で、日本の約3分の2)ことを誰もが意識している中国の人びとにとって空気以上に敏感な問題として捉えられる傾向をもつ。

そのことが如実に反映されたのが、2013年9月7日午前、浙江省金華市の副市長と蘭溪市党委員会書記を筆頭に省内各市の環境保護局の正副局長約15人がなぜかそろって蘭江(河)に飛び込むというパフォーマンスが行なわれたことである。

これは2013年1月、ネット上に出現した「請游泳!(では、泳いでいただきましょう!)」という一つの呼びかけを、行政が無視できなくなったことで行なわれたパフォーマンスだった。

市民パワーを意識させる出来事だが、ここに至るまでには、自分たちの身近にあった河が悪臭を発するようになって生活環境を破壊された市民の声がずっと無視され続けてきた事実があるのだ。

同省では2013年5月にも河川の汚染で大きな問題が起きているのだ。舞台となったのは、温州市の蒼南県を流れる河だった。その河で14歳の少女が入水自殺を図るという事件が起き、このとき勇敢に河に飛び込み少女を救った51歳の地元警察官(張光聰)がいたのだが、その後、病院に運ばれた警官が自殺未遂の少女よりも重体に陥ったことで全国的な話題となったのだった。

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