【産業天気図・損害保険】本業不振のうえに資産運用業も暗転、業績修正の嵐で「雨」降り続く

予想天気
 08年10月~09年3月   09年4月~9月

2009年9月中間期の上場損害保険会社の業績は、損保業界の抱える問題が色濃く反映されたものだった。本業の損保事業は不振が続き、反転の兆しが見いだせない。一方、これまで本業に代わって収益を上げてきた資産運用も、結局は市況次第、盤石ではありえないことを改めて思い知らされた。こうした中、損害保険業界は08年度後半、09年度前半とも「雨」となりそうだ。
 
 上場損害保険7社は09年3月期の通期業績見通しを相次いで下方修正した。08年4~6月期終了時点では、自賠責保険の料率引き下げという見かけ上の下押し要因があったにもかかわらず、経常収益が前期比0・6%増、正味収入保険料が同1・5%増、経常利益が同22・6%増と、増収増益となる見通しだった。だが、リーマン・ブラザーズの経営破綻に端を発した金融危機によって事態が急転。資産運用収益が激減することに加え、保有有価証券の評価損、売却損を余儀なくされ、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の関連損も大きく膨らんだ。
 
 この結果、7社計の業績は一転、減収大幅減益へと落ち込む。経常収益は前期比5・4%減、正味収入保険料が同3・0%減、経常利益に至っては同98・6%減と大幅な減益に落ち込む見通しとなった。これは主に資産運用で収益が上げられなくなったことに加え、資産運用の費用がかさんだことによる。たとえば、東京海上ホールディングス<8766>は、CDSや資産担保証券、金融保証特約再保険等で1270億円の関連損失を計上した。
 
 さらに損保ジャパン<8755>は、有価証券の減損730億円、債務担保証券(CDO)に支払い可能性が出てきたため備金に700億円を計上、通期で1430億円の関連損失を見込んでいる。同社は08年1月にCDOのうち、精算条項付き保険に関して340億円の保険金支払いが必要になるとして、支払い準備金の積み立てを行った。今回、そのときに会社側がデフォルトの可能性が低いとして積み増していなかった保証保険の残高2010億円にまで支払い責任が発生する懸念が及び、700億円を追加計上することになった。だが、さらに今回の備金計上でもカバーされていない1750億円については、同社は08年1月同様、「十分に精査した」ので、積み増す必要はないとしている。
 
 また、三井住友海上グループホールディング<8725>も、有価証券の評価損750億円に加え、英国の信用保証業務の損失で450億円の引き当て処理が響き、純利益を520億円から200億円に下方修正した。
 
 だが、今後の見通しに関しては、さらなる下方修正の懸念がつきまとう。たとえば、損保ジャパンは、日経平均で言えば8580円程度の市況で通期の業績を見直しているが、東京海上ホールディングス、三井住友海上グループホールディングは9500円程度。さらに富士火災海上<8763>とニッセイ同和損保<8759>に至っては、通期業績見通しの前提が9月末の株価水準1万1000円程度となっている。足元の株価水準は依然、9000円を下回っており、このまま12月末の大納会を迎えると、損保各社の有価証券の減損・売却損は再度、膨らむ可能性が高まっている。
(筑紫 祐二)

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