福島原発汚染水、漏えいタンクに違法労働の影

廃炉現場における違法な雇用実態

12月10日、福島第1原子力発電所でなお続く大量の放射能汚染水流出。その大きな原因となった貯蔵タンク漏えいの影には、廃炉現場における違法な雇用実態があった。写真は11月、同原発で代表撮影(2013年 ロイター)

[那覇 10日 ロイター] -東京電力<9501.T>福島第1原子力発電所でなお続く大量の放射能汚染水流出。その大きな原因となった貯蔵タンク漏えいの影には、廃炉現場における違法な雇用実態があった。

深刻な人手不足の中、不透明な契約で作業員たちをかき集める「人員調達網」は遠く沖縄まで広がる一方、現場では「質」を問わない性急な工事が行われていた、との指摘は少なくない。

2011年3月の震災以来、福島第1原発では大量の汚染水があふれ、その一部は海洋に流出していると見られている。東電では日本全国から何千という労働者を緊急に福島に集め、何百もの1000トン型貯蔵タンクを設置した。しかし、今年8月には地上タンクから高濃度汚染水約300トンが漏出する事態が発生。継ぎ目をボルトで締めるだけのタンクの構造が想定外の汚染水漏れを引き起こす結果となった。

タンク設置工事についても、仕事の訓練が十分でなく、ずざんな仕事も見落としかねない急ごしらえのプロジェクトだった、と多くの現場経験者は証言する。

「たとえ作業のやり方に同意できないとしても、私たちは黙って作業を急ぐことしか許されなかった」。当時、現場でタンク設置にあたった上地剛立氏(48)は福島第1原発の廃炉作業を脅かす作業実態についてこう語り、いまも告発を続けている。

押し付けられたニセの報告

機械工で元バスドライバーの上地氏は、2012年6月に沖縄から福島に送り込まれた17人の作業員の1人。4人の子供を持つ同氏にとって、沖縄の最低賃金の2倍以上の報酬が約束される福島での仕事は大きな魅力に映った。

しかし、期待とは裏腹に、同原発で仕事をした半年間、上地氏が目の当たりにしたのは、違法な派遣や偽装請負などの劣悪な雇用と無責任な仕事が横行する作業現場の実態だった。

同氏によると、自分を雇い、福島に派遣したのは、沖縄県与那原町の東建興業。派遣先となったのは、東電の元請けである大成建設<1801.T>の下請け会社テック。関係当局によると、東建興業は派遣業としての免許は持っておらず、上地氏の申し立てを受けて調査を行っていた沖縄労働局は、このほど東建興業に対して是正勧告を出した。

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