日ハム、動き出す「新球場建設」の野望と課題 北海道ボールパークは2023年3月開業目指す

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HBPは新球場を広域からの集客を期待できる施設とするべく検討を進めたい考えだ。そのためには、交通アクセスが課題となる。輸送力を期待できるのはJR千歳線だ。

JR千歳線の新駅予定地周辺(2018年春、筆者撮影)

現状では千歳線の輸送力は地域輸送、空港輸送、貨物輸送で飽和状態にあり、本線への支障を回避する策として、球場新駅を千歳線の本線から分岐する「引き込み線」方式とすることも明らかとなっている。

ただし計画案では、新千歳空港駅への直通列車や函館・釧路方面の特急列車の新駅停車は不可能な構造になっており、新千歳空港・苫小牧・釧路方面からの来訪時に乗り換えが必要となる可能性がある。

行き止まり構造としたことで増大する旅客需要に応えきれなくなったため、千歳線の本線につなげて、苫小牧・釧路方面と直結するための大規模改修工事の構想が浮上した新千歳空港駅と同じ轍を踏まないようにする必要があると筆者は考える。福田社長は「みんなで知恵を出し合って、よりよい新駅とすることが大切だ」というスタンスだ。

北広島駅はボールパーク候補地から約1.5km離れている。北広島市はボールパーク誘致の材料として、北海道旅客鉄道(JR北海道)と新駅設置の交渉を進めることをファイターズに約束していた。

新駅はボールパークの前提条件

現在、北広島市はJR北海道に対し新駅設置の要望を出しているものの、2019年1月時点で設置のメドはたっていない。「新駅はボールパークの前提条件」(福田社長)で、実現するか否かはボールパークの観客動員および併設施設の集客を左右する。

また、混雑緩和策として「試合の前後に観客が交通機関や道路に集中しすぎないよう誘導する方策も検討しなければならない。ホテルを併設して試合の前日や終了後の宿泊を促すことや、交通ラッシュが終わるまでレストランや温浴施設にご滞在いただく仕組みを作りたい」との考えを福田社長は示している。

新球場誘致の際ののぼり旗(筆者撮影)

筆者は、試合終了後の観客の交通機関への集中を緩和する手立てとしてはショッピングセンター(SC)の併設が有効であると考えている。試合終了後にゆっくりと買い物ができる魅力的なSCをラインナップに加えることで、試合終了後の短時間の間に交通需要が集中する状況の軽減が期待できるはずだ。

福田社長にその旨を改めて質問してみたが、「非混雑時に入出庫するとピーク時に比べて安くなる駐車料金、周辺飲食店のリアルタイムDM&クーポン配信、球場内でのアフターショー展開など、ソフトの運用による混雑緩和対策を検討していきたい」との考えを示した。

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