プロ野球・日ハムが新球場構想で描く未来図

新球場ができると、球団経営は何が変わるか

投手と打者の「二刀流」で活躍し、日本一にも大きく貢献した日本ハム・大谷翔平選手。日本ハムの新球場構想も急速に勢いを増している(写真:共同通信社)

プロ野球の北海道日本ハムファイターズが、いよいよ新球場の建設構想の本格化に踏み出す。背景には、収益力を強化する狙いがある。「球団」と「球場」の経営の一体化を果たすことが、そのカギを握る。

10年ぶりの日本一に輝いた今シーズンは、2004年に東京ドームから、北海道・札幌ドームに本拠地を移転して以来、最多となる207万8981人(主催71試合)を集客。初めて達成した200万人の大台突破は、改めて地域密着型の球団であることを実証した形だ。

観客が増えても、球団の収益が膨らまないワケ

しかし、実際には札幌ドームは"借り物"に過ぎず、球団経営の面で収益の大幅な拡大は見込めなかったというのが、現実だ。自前の球場を持たない悲哀を感じながらの運営は悩ましいものだった。

そもそも札幌ドームは、札幌市と道内財界の各社が出資する第3セクターで建設された。運営管理は「株式会社札幌ドーム」が執り行っている。が、実質的には札幌市が運営するハコモノなのだ。

日本ハムは入場料を得られるが、市の条例に基づき球場使用料として、1試合800万円を支払う必要がある。しかも、球場内の看板広告、飲食の売上げは球団に配分されない。

また、コンサートなどのイベントが開催される日には、一・三塁側のグラウンドに設置された観戦席「フィールドシート」と内外野の人工芝を巻き取っての撤去に加えて、室内トレーニング施設にある器具の搬出入まで行う必要があるが、この費用を球団がまかなってきた。

何よりも、日本ハムが運営会社に支払う使用料などを含めた年間約15億円の出費は、球団にとって重荷となっていて、それが今回移転に踏み切る大きな理由にほかならない。

そこで私が思い出したのは、1997年に大阪近鉄バファローズの本拠として開場した大阪ドーム(現京セラドーム大阪)の顛末だった。大阪市が主体で運営したこの大阪ドームも、球団の本拠地でありながら、スタンド、記者席などからグラウンドが非常に見づらく、死角の多さが目立った。

その問題点を指摘すると、ある大阪市の責任者は「これは野球場ではない。多目的ドームだ」と反論したのだ。

しかし、結果から考えるとやはり、大阪市は「いったい、だれのためのドームなのか?」というのが、お分かりになっていなかったようだ。「多目的」なのだと責任者が胸を張ったドームは、その後、どうなったか。

総工費約700億円を投資して建設された大阪ドームの経営状態は悪化。大阪市の「負の遺産」と後ろ指を指されるハコモノになった揚げ句、オリックスグループに100億円弱で売却されていったのだった。

現在、球団と球場が別運営なのは、日本ハムに加え、巨人、ヤクルトなど。甲子園球場を本拠にする阪神球団が、グループ内の球場側に使用料を支払っている例もある。

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