鉄道の新線・延伸で「化ける」首都圏の街は? 相鉄が人気上昇中、TXと大江戸線にも注目

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2019年からは、西谷駅付近で開発を進めていた戸建て住宅の販売も始める予定で、都心直通とともに「子育て環境に優れた沿線」(鈴木氏)をPRする。沿線では、2018年春の小田急線複々線化による利便性向上と再開発の進展で海老名駅が注目を集めている点も追い風だ。

とはいえ、相鉄沿線は肝心の新築物件が少ないのが現状。直通線開業に向けて沿線の人気が本格的に高まるかどうかは、今後の物件供給次第といえそうだ。

注目は大江戸線とTX

計画段階の路線にも動きがある。東京都は2018年4月、豊洲と住吉を結ぶ地下鉄など都内6路線の事業化を見据え、「東京都鉄道新線建設等準備基金」を創設した。だが、「豊洲―住吉間など、すでに人が多いから通すという路線は『新線効果』は少ない」(松田氏)。

伸びしろがあるとすれば、郊外で計画されている新線沿線か、都心部の新線開業によって利便性が高まる郊外エリアになりそうだ。

たとえば都営大江戸線の延伸計画がある大泉学園町(練馬区)は、開業とともに大規模再開発が行われれば人気がハネ上がる可能性はある。

都が調査費を計上した路線には含まれないものの、TXの東京延伸計画も「東京へ直結という利便性で、守谷―三郷中央間など郊外の人気をさらに押し上げる効果はあるだろう」と松田氏は見る。

これらの路線が実現するかどうかまだ不明な現状では、計画を前提にした開発の動きは特に見られないのが事実だ。

とはいえ、新線や路線延伸は従来見過ごされてきた駅やエリアが人気の街に大変貌を遂げる一大チャンス。今後伸びるお買い得な街を探すなら、新線計画の進展に気を配っていて損はないだろう。

小佐野 景寿 東洋経済 記者

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おさの かげとし / Kagetoshi Osano

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

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