公取委がメス ヤマダ電機に逆風

公取委がメスヤマダ電機に逆風

本誌が特集「量販の王・ヤマダ電機」で指摘したヤマダ電機に対するメーカーからの“悪評”の数々。そのひとつ「ヘルパー問題」について、公正取引委員会が立ち入り検査に動いた。(『週刊東洋経済』5月26日)

破竹の勢いで成長を続ける家電量販最大手のヤマダ電機に待ったがかかった。5月10日、公正取引委員会(公取委)が独占禁止法違反の疑いで、群馬県の本社ほか複数の店舗に立ち入り検査を行った。

公取委が問題視するのは、家電量販店への「ヘルパー」派遣の強要だ。家電メーカーは自社商品の販売を増やすため、ヘルパーと呼ばれる販売員を送り込んできた。メーカー側の支援は以前からある商習慣で、派遣行為そのものに問題はない。だが、独占禁止法では大規模な小売業者が「優越的な地位」を利用し、メーカーに対して人材派遣やリベートを強要することを禁止している。公取委が家電量販店へ検査のメスを入れるのは初めてのことだ。

全国出店を支える 人件費ゼロの販売員

ヤマダ電機では今回の検査を受けて「公正取引委員会より具体的指摘事項がなされた時点で、直ちに検討精査させて頂き、問題の再発防止に努めさせて頂きたいと思います」(一部抜粋)とのコメントを発表している。

だが、具体的な強要の実態はすでに業界内から聞かれる。「今回、あなたのところは、常駐ヘルパーを5人出してくれ」。メーカー関係者によると、新しい店舗がオープンする前には、メーカーの営業担当者に対し、幹部クラスや着任予定の店長から決まってこうした要求があったという。派遣されるヘルパーの人数はメーカーによって異なり、ヤマダ電機全体の年商に占める各メーカーの構成比率を基に、新店舗での担当人数が設定されていたようだ。

全国へ店舗を積極展開するうえで、ヘルパー派遣に頼るメリットは大きい。図(33ページ)に参照したように、派遣社員のコストはメーカー側が負担する。つまり、「家電量販店から見ればタダで使える社員」(大手メーカー幹部)なのだ。ヘルパーはメーカーと派遣会社の契約だが、かつてはヤマダが派遣会社に要員の依頼を直接行ったうえで、費用の一部をメーカーに負担させる「マネキン協賛金」なるものもあった。

メーカーから派遣された社員の仕事は、あくまで自社商品の販売促進を図ることだ。しかし、本誌(5月12日号のヤマダ電機特集)で報じたように、ヘルパーに対して他社商品の販売ノルマを課したり、店内の清掃をさせるなど、正社員と同じような扱いをしていたケースもあった。こうした場合、ヤマダ側が人件費を負担するなど、メーカーとの合意がなければ、「優越的地位の濫用」の対象になる。

「ヘルパーやリベートの要求は同業他社に比べても相当きつい」(大手電機メーカー幹部)と、最大手量販店への不満は多い。1964年、松下電器産業が自社製品を安売りしたダイエーに対して出荷を停止し、以後30年間も取引が途絶えるなど、メーカーと小売りで対立の構図が鮮明化した。無理難題をふっかけられるならば、メーカーが強行策を打つ手もある。だが、「現状、それは無理だ」と、メーカー関係者はあきらめ顔で首を横に振る。

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