FRBの緩和縮小時期早まる可能性

10月の建設支出は4年半ぶりの高水準

12月2日、米経済指標は景気見通しの明るさが増していることを示した。写真はテネシー州の工場で8月撮影(2013年 ロイター/Chris Berry)

[ワシントン 2日 ロイター] -2日に発表された米経済指標は、11月の米供給管理協会(ISM)製造業景気指数が2年半ぶりの高水準、10月の建設支出は約4年半ぶりの高水準となり、景気見通しの明るさが増していることが示された。

米国では10月1日から16日間にわたり、予算案が不成立となったことで政府機関が一部閉鎖される事態となったにもかかわらず、これまでに発表された経済指標では小売や非農業部門雇用者数などが好調。財政問題が経済に対する向かい風となっているが、好調な経済指標の発表が相次いだことで、米連邦準備理事会(FRB)が緩和縮小に着手する時期が早まる可能性も出てきた。

三菱東京UFJ(ニューヨーク)の首席フィナンシャルエコノミスト、クリス・ラプキー氏は「米経済は緩やかから強めのペースで進展している」とし、「この日の経済指標で、景気見通しが十分に上向いており、十分に長い期間にわたりこうした改善が続くとの見方があらためて確認されたことで、FRBが12月の連邦公開市場委員会(FOMC)で緩和縮小に着手する可能性も出てきた」と述べた。

次回のFOMCは12月17─18日。前回のFOMC議事録では、景気回復が続けばFRBは向こう数カ月以内に緩和縮小に着手する用意があることが示されている。

ISMが発表した11月の製造業景気指数は57.3と前月の56.4から上昇し、2011年4月以来2年半ぶりの高水準をつけた。

同指数は5月に拡大・縮小の分岐点となる50を割り込んだものの、その後は6カ月連続で50を上回るとともに上昇基調が継続。11月も政府機関が一部閉鎖された10月から拡大ペースが加速した。11月は55.0を見込んでいた市場予想も上回った。

新規受注は60.6から63.6に上昇し、2011年4月以来の高水準となった。雇用も前月の53.2から2012年4月以来の水準となる56.5に上昇。生産は60.8から62.8に上昇した。

BNPパリバの米国担当エコノミスト、ブリックリン・ドワイヤー氏は、「ISMが継続的に力強さを示していることで、米国の企業投資が第4・四半期には増加に転じるとの確信を深めている」と述べた。ただ、「こうした反転は限定的であるとの見方は変えていない」とした。

また、商務省発表の10月の建設支出は前月比0.8%増の9084億ドルと、2009年5月以来約4年半ぶりの高水準となった。民間部門が減少した一方、公共部門が大きく伸びた。エコノミスト予想は0.4%増だった。

10月の政府機関閉鎖の影響で公表が延期されていた9月の建設支出は前月比0.3%減少。8月分は当初発表の0.6%増から0.1%増に下方修正された。

10月は公共部門が3.9%増と、2004年3月以来の大幅な伸びを記録。州政府および地方自治体の支出が3.2%増と、2009年2月以来の大幅な伸びとなったことが寄与し、地方財政の改善を示唆した。連邦政府の支出が10.9%増加し、2011年1月以来の大きな伸びとなったことも公共部門の押し上げ要因となった。

一方、民間部門は0.5%減少。居住用、非居住用がいずれも減少したことが響いき、金利の上昇が景気に影響し始めている可能性を示唆した。

ドイツ銀行証券(ニューヨーク)のシニア米国担当エコノミスト、カール・リッカドンナ氏は、州政府や地方政府の建設支出は前年比で安定的な増加基調に入っていると指摘した上で、「連邦政府の歳出は2014年も歳出削減策の圧力下に置かれるが、こうした足かせは州政府や地方政府の歳出増で大幅に埋め合わせられる」との見方を示した。

このほか、マークイットが発表した11月の米製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値は54.7となり、1月以来の高水準を付けた。

JPモルガン(ニューヨーク)のエコノミスト、マイケル・フェローリ氏は、「世界経済が回復しつつあることが、米製造業の追い風になっていると見られる」と指摘。ただ、商務省が27日に発表した10月の耐久財新規受注は前月比2.0%減となるなど、米経済指標は強弱混交となっている。

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