視聴率に歯止め、フジテレビ「復活」は本物か 宮内社長「フジの得意技が成果を出し始めた」

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――現場に足を運び、どんなコミュニケーションを取ってきたのですか。

現場に足を運び、熱気があるかどうかを見ていた。現場にはタレント事務所や広告会社、系列局の人たちなど多くの関係者がいる。スタッフも含めて、そういう人々の声や愚痴もストレートに耳に入るので、できるだけ顔を出すようにしていた。2017年の仕事納めのときは、駆け足で全職場を回った。若手社員も顔を覚えてくれた。

20代や30代の社員とは、社員食堂でランチを取りながら直接話もしてきた。個室でもないし、間仕切りもない食堂で、ざっくばらんに話した。それこそ3人ごとに、テレフォンショッキングみたいに次のセクションを選んでくれと。うちの社員は社長が相手でも、全然、緊張してなかったけど(笑)。

「うちの社員は社長相手でも、全然、緊張しない」と笑う宮内社長(撮影:尾形文繁)

あらゆる現場を見て、話を聞いて、視聴率は低迷していても熱気は失われていないと感じた。何かのきっかけを作れば、絶対にフジテレビのDNAは爆発するなと。現場の力を実感できたのは改革を進める支えになった。

視聴率アップが大命題

――タイムテーブル(番組表)改革について、どんな課題があると考えていたのですか。

商業放送だから、売り上げの立つタイムテーブルを作らなければならない。ものすごく費用を投下しても、広告主に高く評価されず、視聴率も低く、系列局も評価しない番組があった。最終的には現場の判断に任せているが、そういうものは企画を変更しなくてはいけないし、タイムテーブル全体の構造も変えていく必要がある。聖域なきという言葉は好きではないが、一から見直していった。

――具体的にどんな指示を出していたのですか。

「視聴率を上げるためならどう変えてもいい」という命を受けた社長ですから、「視聴率を上げることが大命題だ」と編成のトップには伝えた。「会社として協力できること、社長ができることはやる」と言って、編成の希望する組織、陣容を作るように指示した。

また、タイムテーブル改革のために人事異動の時期も変えた。社員の異動が役員選任後の7月だと、現場の陣容が整わない中で10月の番組改編となり、思い切ったことができない。今年は社員の人事を4月に変え、10月に向けて番組制作も営業もできるようにした。考えついた企画を育てようとしていた最中に変わってしまった社員もいたかもしれない。荒療治になった部分もあると思うが、非常事態だからこそ進められたことだった。

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