テレビ局の「働き方改革」は進んでいるのか 電通事件を報じるメディア側も改革が必要だ

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激務で知られるテレビ局の現場、働き方改革はどこまで進んでいるのか(撮影:今井康一)

昼夜を問わずパワフルに働く、長時間労働は当たり前で残業も多い――。そんなイメージのあるテレビ局。実際、制作現場の働き方は不規則かつ非常にハードなものだ。

だが、最近では電通の働き方改革を密着取材し放送したNHK(日本放送協会)で局員の過労死が明らかになるなど、テレビ局自身も抜本的な改善が求められている。業界の働き方改革はどこまで進んでいるのか。

テレ朝は「ラッキー!フライデー」

2017年12月、米倉涼子主演「ドクターX」が最終回に視聴率25%を突破するなど、話題を集めたテレビ朝日は、勤務時間のルール厳守を徹底している。

まず、編成や営業などを含めた管理部門を中心に、原則8時30分から21時30分までを勤務が可能な時間と決めている。難しい場合は部署ごとにルールも定めるケースもある。

休暇に関しては、5日間の夏休みを6月から10月の間に取得することを奨励している。また、5日間連続で休暇を取得すると年に一度5万円が支給される制度もあり、社員の連休取得率は意外にも、毎年95%以上に達する。

ユニークなのは、2017年6月から始まった「ラッキー!フライデー」。社員が積極的に代休や有給休暇を使えるようにするため、年に7度、全社的に休暇取得を奨励する金曜日を独自に設定したものだ。

ちなみに、「プレミアムフライデー」とは異なる日に設定される。こうした施策もあり「総労働時間は以前と比べて大幅に削減が進んでいる」(テレビ朝日)。

TBSテレビも、全社レベルで働き方改革を進める。制作現場では予算を積み増しし、外部スタッフを増員している最中だ。

細かいものでは会議時間の見直しがある。放送時間が夜遅い場合、打ち合わせなどの会議も遅くなりがちだった。これをなるべく昼の間に済ませるようにしている。

テレビ局の場合、タレントやお笑い芸人、作家など、社内外のスタッフが協力して番組を作るため、単に会議の見直しといっても簡単ではないのだ。

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