38歳・名古屋の残留請負人「玉田圭司」の進化 ベテランになってわかった「考える」の重要性

拡大
縮小

サッカー選手が年齢を重ねるごとにサッカーの思考力を高め、理解を深めていくのは玉田に限った話ではない。むしろ、そうならなければ、40歳近くまで国内最高峰リーグでフル稼働することはできない。

そこは南アフリカワールドカップの盟友で同い年の中村憲剛(川崎フロンターレ)も強調している点だ。

「選手が生き延びるために必要なのは技術とビジョン。チームのスタイルもあるけど、頭の中は特に大事。そこがクリアになれば、プレーにムダがなくなるし、余計なこともしなくてよくなる。

タマちゃんもヤット(遠藤保仁=ガンバ大阪)さんもおそらく特別なことはしていないだろうけど、長生きする秘訣をわかってる。そこは大きいと思います」

中村憲剛がこう語るように、活躍しているベテランの多くが高度な技術を備えている。玉田も習志野高校時代の恩師・本田裕一郎監督(現・流通経済大学付属柏高校監督)から「教え子の中でもピカイチの足技を持った選手」と絶賛されている。その技術の大切さを子どもたち伝えるべく、目下、千葉県船橋市のフットサル場「KT ESTADIO フットサルポイント津田沼」をプロデュースしている。

「自分も子どもを教えることがあるけど、ボールコントロールの練習は成長してから必ず役に立つ。僕自身も小さいエリアでのボール回しとかリフティング、ドリブルとかを積み重ねてきたから」と話すように、いい環境で養ったものが今の彼を支えている。

フォルランとの共演がもたらした覚醒

30代の玉田が覚醒したもう1つのきっかけが、南ア大会でMVPを獲得したフォルランとの共演だ。一緒に戦ったのはわずか半年間だったが、海外リーグでプレーする機会を持てなかった玉田が「世界基準」を改めて体感する絶好の機会になったのは間違いない。

「シュートを打つ大事さとか、貪欲さみたいなものは学んだ。彼のプレーを見ながら『こういうところでシュート狙うんだ』とか『こういう動きするんだ』っていうのはすごい勉強になりましたね。実際、フォルランはチャンスがあったらまずシュートを狙う。

多少、難しい位置や角度でも関係なく蹴っていた。あれを積み重ねることで、スペインリーグ得点王になったんだと実感したんです」

次ページ玉田にもたらされたフォルラン効果
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT