《NEWS@もっと!関西》売れてまっせ!国内初の持ち運びできる無線LANアクセスポイントに熱い視線

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《NEWS@もっと!関西》売れてまっせ!国内初の持ち運びできる無線LANアクセスポイントに熱い視線

自宅やオフィス、あるいは移動中のタクシー車内などあらゆる場面で、いつもでもどこでも簡単に無線LANアクセスポイントをつくりだすことができるハイテク機器に注目が集まっている。

大阪市に本社を構える西日本最大の通信工事会社コミューチュアは、10月23日に小型ワイヤレスルータ「PHS300 Mobile WiFi AccessPoint」(以下、PHS300)の販売を開始した。するとその途端に、ユーザーから機器への問い合わせや購入申し込みが殺到。自社Webストア限定での販売にもかかわらず、発売からわずか1カ月で1000台と想定以上の売り上げとなっているようだ。

PHS300は、米国のハイテクベンチャー、クレードルポイント社が開発した(コミューチュアは販売代理店として契約)。日本国内はこれまで、無線LANのアクセスポイントが駅前やコーヒーショップなど特定の場所に限定されていた。PHS300は、携帯電話の電波と無線LANの電波(WiFi)を変換する機能を備えているため、携帯電話の電波が届くところならばどこでもユーザーにインターネット接続環境を提供できる。

使い方はいたってシンプル。PHS300にUSBモデム端末(イー・モバイルの「D02HW」「H11T」など、別売り)を接続する。これだけである。あとは、携帯型ゲーム機「DSi」や「PSP」、情報端末機「iPod Touch」、あるいはノートパソコンなどWiFi機器を近づけ、簡単な手続きを済ませれば、ユーザーはネットに接続できる(PHS300から周囲30~40メートル内ならば使用可能)。

PHS300の特徴は大きく2つ。まず1つ目は、手軽に持ち運びできること。本体サイズ幅12.2、奥行き7.3、高さ1.85センチメートル、重さ250グラム(バッテリー装着時)と手帳サイズ。ワイシャツのポケットにすっぽりおさまる。また、リチウムイオン電池を備えているため、1~1.5時間稼働が可能である。無線LANルータ製品は、他社からも発売されているが、「このように持ち運べる製品は、おそらく国内初」(コミューチュアのイー・モバイル事業本部、川野清部長)。

特徴の2つ目は、複数の人が同時にネット接続できることだ。たとえば、会議室のテーブルにPHS300を置いておけば、会議の出席者全員が同時にオンライン接続できる。建設現場など通信回線が整備されていない場所でも、PHS300を持ち運べば複数のスタッフがオンラインで通信することができる。ファイアウォールや暗号化機能を内臓しているため、セキュリティ面でも心配がない。

目下のところ、「DSi」のユーザーがダウンロードゲームを楽しむ際や、ゲームソフトやIT関連企業などの関係者が商品開発を模索する際に使用している様子。今後はバスやタクシー業者などの企業が、輸送客へのサービスの一環としてPHS300を車内に設置することも考えられよう。

先述の川野氏は、「売り上げ目標は年間2万個。できれば5万個までいきたい」と意気込む。ただ、そのためには、接続できるUSBモデム端末の拡大が不可欠(現時点では、支障なく動くことが確認できているUSBモデム端末はイー・モバイル製品だけ)。税込1万9800円という価格が一般ユーザーに受け入れられるか、また使い勝手の良さを有効にアピールできるかもポイントとなるだろう。

とはいえ、国内の無線LAN環境を画期的に変える潜在能力を秘めている製品であることは間違いない。複数のハードルを乗り越えることができれば、爆発的に普及する可能性もある。
(梅咲恵司 =東洋経済オンライン)

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