コマツ、「超優良企業」に吹く逆風 鉱山機械がまさかの急落 挽回のカギはハイテク建機
「屈辱だ。3年連続の下方修正になってしまった」
建設機械大手、コマツの藤塚主夫CFOはがっくりと肩を落とす。
コマツは10月末、2014年3月期の業績予想を下方修正、営業利益を950億円減額し、前期比4割強の増益予想から一転、微減益にとどまるとした(上図)。円安によるカサ上げ効果を除くと、実質的には18%もの営業減益に落ち込む。
勝ち組と目されていたコマツの下方修正だけに「誰も予想していなかった事態」(業界アナリスト)と市場関係者は一様にショックを隠せない。株価も急落した。
コマツにとって大きな誤算になったのは、鉱山機械需要の失速だ。
中国景気の減速で石炭など資源価格が低迷、アジア、オセアニア、中南米で需要が軒並み落ち込んだ。さらにコマツにとってボリュームの大きいインドネシアでは、急激な現地通貨安も追い打ちとなった。
コマツは当初、下期からは各地で建機への投資が徐々に戻ると見ていたものの、足元でも回復の兆しは見られないという。これを踏まえ、13年度の全世界での鉱山機械需要見通しを、前期比25%減から50%減へ引き下げた(下図)。
鉱山機械市場は、世界的な資源需要の増大とともに05年ごろから飛躍的に拡大し、さながらバブルの様相を呈した。コマツは業界内でも早くから鉱山分野に目をつけ、00年代初頭から開発を強化した。08年には自動走行する無人ダンプトラックを世界で初めて実用化、採掘コストの低減や安全性向上などを武器に存在感を高め、現在では、米キャタピラーとともに鉱山機械市場を寡占。前期には建機売上高の約3割を鉱山機械が占めるまでになっていた。
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