インスタグラムは「映え」の限界越えられるか 「ストーリーズ」急成長、買い物や店の予約も

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――最近ではインスタのアプリ上から通販サイトに飛べたり、飲食店予約ができたりと、具体的な行動につながるような機能を次々と打ち出しています。その背景は?

ユーザーの行動を観察すると、これまでは非常に非効率だった。まずインスタグラムを見ていて、あるファッションアイテムを「いいな」と思ったとする。買いたいと思ったら、その写真を投稿しているアカウントのプロフィールページに行って、そこにリンクがあれば飛んで、やっと買い物ができる。

ジム・スクワイヤーズ(Jim Squires)/インスタグラムでビジネス向けのソリューション開発を統括。インスタグラム入社以前は、米ヤフーで動画やエンターテイメント商品の開発に携わるなどのキャリアを経て、フェイスブックに入社し広告コンテンツ導入に貢献(撮影:山内信也)

あるいは、お店の名前を頑張って覚えておいて、ブラウザを立ち上げて、そこで店名を改めて検索する。この流れをもっと簡単にできるのではないかと感じていた。

まずはフィードやストーリーズに表示される写真や動画に出てくるアイテムに「タグ付け」をできるようにした。人間にタグ付けするのと同じだ。タグをタップすると商品の価格や商品説明を簡単に見ることができ、そこから通販サイトに誘導することもできる。すでに世界45カ国で展開しており、日本ではこの夏に投入した。

インスタは“偶然の買い物”を演出する

われわれはこれを「セレンディピティショッピング(偶発的な買い物)」と表現している。別に何かを買いたいわけではないが、インスタですてきな商品に出会って、はっとして、買いたくなる。タグ付け機能はそういう気持ちを醸成する。

企業が投稿している写真の中には、商品名や価格が表示される「タグ」がつけられている。タップすると、通販サイトに飛ぶようになっている(画像:Instagram)

インスタからモノを買う流れとして、もうひとつあるのが「ウィンドウショッピング」。これはもともと「買い物をしたい」と思ってインスタを開き、いろいろな商品を見比べるというケースだ。

こうした需要を背景に開発したのが、虫眼鏡マークの「エクスプロア(発見)」タブの中にある「ショッピングチャンネル」だ。自分がフォローしていないアカウントでも、閲覧履歴を基に好みが合いそうな投稿をまとめて表示し、買い物をサポートしている。

ヘビーユーザーの中には、買う前に店やブランドとやり取りしたい、もっと質問したいというニーズが徐々に生まれてきた。さらに飲食店などのサービス業態なら、予約まで行いたいといった要望も出る。これらを反映するために開発したのが「アクションボタン」だ。飲食店など、ビジネスアカウントのプロフィール画面に、「予約する」などのボタンを設置できる仕組みだ。

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