インスタグラムは「映え」の限界越えられるか 「ストーリーズ」急成長、買い物や店の予約も

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――ストーリーズに関しては、親会社のフェイスブックも取り入れており、機能の利用促進に積極的です。米国ではすでにフェイスブックのストーリーズにも広告枠を設けています。一方、直近の決算電話会見では、ストーリーズ広告はフィード広告より収益率が低いという言及がありました。

ストーリーズでは「インスタ映え」を考えず、気軽に投稿する人が多い(画像:Instagram)

ストーリーズの利用は一般ユーザーの中でかなり広がってきたものの、広告主はまだその後追いをしている段階。フィード広告に比べ、ストーリーズ広告を使っている広告主はまだ少ない。密度が低ければ、当然(広告の価格を決める)入札でも価格が上がりにくく、それが収益性に現れている。ただ逆に見れば、広告主側にとっては好機だ。今のうちに始めれば、低いコストで高いパフォーマンスを出しやすい。

ストーリーズならスマホ画面をフルに使って広告を見せられるし、見ている人の60%以上が音声をオンにしているので聴覚にも訴えられる。一方でストーリーズは、コンテンツを見るスピードがフィードよりかなり早い。だからここで広告を展開するなら、最初の2、3秒で心をつかむようなインパクト、ノウハウが必要になる。

直近ではストーリーズ上に投票を行える機能や、質問にテキストで回答してもらえる機能なども設けた。これらを活用してユーザーとやり取りを深め、関心を引くという手もあるだろう。

縦型動画のトレンドは変わらない

――ストーリーズ広告特有の、縦型の広告素材を作ることにハードルの高さを感じている広告主がまだ多いようです。

そのハードルを下げるためのツールも用意している。たとえば、フィード内で使っている(横型の)画像や動画などの広告素材を自動で縦型にアレンジするツールがある。加えて、われわれにはテクノロジーパートナーという外部の協力企業が世界中にあり、彼らが広告主側で持っているもともとの動画を編集し、ストーリーズに最適化した形に直す手伝いをしている。

もちろん、われわれ自身もこういったトレンド変化の啓蒙や、研修を行っている。インスタ内のトレンドがどう変わっているか、ユーザーに効果的に訴えられる広告はどんなものか、これからもできるだけ詳しく発信したい。ユーザーの嗜好が縦型動画へ向かう流れは変わらない。広告主は少しでも早くそのフォーマットに慣れ、ノウハウを貯めておくことで、これからの競争を優位に進められるはずだ。

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