外国人材の新制度、外食とコンビニで「明暗」 人手不足14業種が候補だが選定基準は不明瞭

拡大
縮小

一方、今回選に漏れた代表格がコンビニエンスストア業界だ。コンビニも技能実習の対象職種ではないが、大手3社で働く外国人は5万人を超え、従業員全体の約7%を占める。コンビニ各社が加盟する日本フランチャイズチェーン協会は、「コンビニには接客だけでなく、商品発注や在庫管理など高度な業務もある」として、所管する経済産業省に働きかけている。

世耕弘成・経産相はコンビニ業界の人手不足を認めたうえで、「ICタグを使って自動でレジをやるなどの工夫の余地もある」とも指摘。コンビニ業務の何が「一定の専門性・技能」に当たるかなどをめぐり、2者間の協議が続いている。

受け入れ態勢に課題

食品スーパー業界も経産省と協議中だ。すでに総菜加工は特定技能の検討対象に入っているが、他業務でも外国人材を活用したい考えだ。「正社員・パートとも2割近く足りない。5年で各部門のチーフぐらいにはなってほしい」(日本スーパーマーケット協会)。

ただ検討対象となった外食業界にも課題はある。外国人の受け入れ態勢を、業界団体や企業が整える必要があるからだ。ロイヤルホールディングスの菊地唯夫会長兼CEOは「今回業界を指定されている以上、われわれ外食業界が責任を持ってやるべきだ」と話すが、具体策はこれからになる。

既存の技能実習制度は、多くの企業で制度の趣旨から逸脱した運用があったと指摘される。留学生の間でも、規定時間を超えた労働がはびこる実態がある。

政府はあくまで来春の改正法施行を目指す。受け入れ側の業界・企業は、短期間での態勢整備という重い宿題を背負うことになる。

次ページ自民党の特別委員会委員長と外食トップに聞く
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT