ドル円、101円後半で半年ぶり高値 週末にかけ、急激な変動に注意

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<ユーロ/円が4年超ぶり高値>

ユーロは一時137.98円まで上昇し、2009年10月23日以来、4年1カ月ぶりの高値を付けた。午前の取引では、モデル系ファンドなどを中心に、クロス円で自動執行される円売りオーダーが市場に流入していたという。

市場は全般的に薄商いとされ、参加者が少ない中でボラティリティが上昇している。「まともな投資家は既に休暇モードに入っている」(外銀)との声も聞かれた。ただ、薄商いゆえに、押せば簡単に動くクロス円を中心に一部のファンド勢が色めき立っている。

ユーロ/円は「2009年に4度試して抜けられなかった140円の壁が視野に入ってきた。抜けたら青天井という勢いで(海外)短期筋が買い進んでいる」(投資家)という。ただ、「上昇のピッチがこれだけ速いと、落ちるのも速いだろう」(同)と予想する向きもいる。

 

ユーロ/円は、2009年の4月6日(137.42円)、6月5日(139.26円)、8月7日(138.72円)、10月23日(138.36円)と4度137円を超える上昇を見せ、その度に140円の壁が意識された。

市場では「株高が続けばユーロ/円は下がりにくいが、買われ過ぎ感は否めない」(国内金融機関)との声が出ている。米感謝祭に伴う休暇入りを前に、利益確定売りが出やすい点にも注意が必要だという。

<シャドーバンキング規制気運>

この日の円売りの主役は引き続き、決算を真近に控えたヘッジファンドなど、いわゆるシャドーバンキングというカテゴリーに属する参加者だが、金融界では、シャドーバンキングに対するより厳格な規制を求める声が広がっている。

米連邦準備理事会(FRB)のタルーロ理事は22日、金融規制関係者の会合で講演し、世界の金融監督当局は投資銀行の経営が壊滅的な影響を被るリスクに対処するため、ヘッジファンドなどのシャドーバンキング(影の銀行)に対してより多くの政策手段と権限を持つべきだとの見解を示した。

さらに理事は、金融安定理事会(FSB)は銀行に短期資金調達の縮小を促すため、安定調達比率(NSFR)を設定したレポ勘定の規制を盛り込むことがあり得ると説明した。また、ヘッジファンドが資金調達に活用するレポ市場におけるヘアカット率は、規制対象であるかどうかにかかわらず、すべての市場参加者に適用されるべきだとした。

(森 佳子)

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