「タッパーウェア」の凄さ、知っていますか? 保存容器大手、実はアップルのような高収益企業

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食品を保存するための「タッパー」。とてもなじみのある商品だが、それを製造・販売している会社をご存じだろうか。

米国タッパーウェアブランズコーポレーション(以下、タッパーウェア)の2012年度売上高は2454億円、営業利益291億円(1ドル=95円換算)に上る。1945年の創業以来、規模を拡大。特にこの10年間の成長はめざましく、2002年度と比べて、売上高は2.3倍に膨らんだ。

大きく飛躍できた要因はどこにあるのか。リック・ゴーイングス会長兼CEO(最高経営責任者)に聞いた。

密閉容器だけでは行き詰まっていた

――なぜタッパーウェアは急成長できたのでしょうか。

どんな商品をどんなふうに売るのか、一から再定義した。私はこの会社を20年経営しているが、初めの5年間は、戦略を練ったり、人材を集めたりするのに使い、その後改革をスタートした。

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リック・ゴーイングス●1985年米化粧品大手エイボン・プロダクツ入社、上級管理職を歴任後、92年当社入社。以後20年以上、経営の指揮を執る

15年前までわれわれは保存容器を売る会社でしかなかったが、今は大きく変わった。わかりやすく言えば、タッパーウェアの変身は、アップルがたどった道と同じだ。

アップルの場合、かつて会社の核だったのはコンピューターのマック。その後、スティーブ・ジョブズがiPodを開発し、iPhone、iPadと新しい商品を次々に投入して、パソコン以外のものも売る会社になった。その結果、核であったパソコンがコモディティ化してしまっても、大きく成長することができた。

アップルでいうパソコンに当たるのが、われわれの密閉保存容器だ。私はそれだけでは、いずれ行き詰まってしまうと思った。そこで経営に加わった時にまず、今ターゲットとすべきはどんな顧客かを考えた。その答えが、仕事をしている若い女性層だ。彼女たちは毎日忙しく過ごしていて、料理をすることへの関心が低い。そんな人たちに振り向いてもらうため、商品構成を大きく変えた。

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