ウラジオストク旅行に女性が熱を上げるワケ 2時間でいける「お気軽ヨーロッパ」の醍醐味

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カラベーリナヤ海岸通りから見える係留されている軍艦。ウラジオストクの軍事施設などがあり、訓練を終えたマリーンと遭遇することも(筆者撮影)

現地はほぼロシア語で、英語はほとんど通じないが、外国人に無関心かというとそうでもなさそうだ。筆者が街を歩いていると、日本人に興味を持ち、話し掛けてくる人もいた。

理由を尋ねると、ウラジオストク極東連邦大学では日本語を学ぶコースがあり、人気があるそうだ。上智大学や早稲田大学からの留学生もいるらしく、ロシアの学生たちと食事をした際は、日本のおすすめのアニメや日本で生活するにはどれくらいの費用がかかるか?といった質問を受け、日本への強い関心を感じた。

治安の良さもポイント

韓国や台湾を何度も訪れていた日本人旅行者が、少し冒険をしてロシアへというケースも多いという。

「ウラジオストクの魅力は、旅慣れしていない女性でも気軽に訪れることが可能ということです。私のもとに来るお客様も、韓国や台湾に慣れてしまい『もう少し違う刺激がある場所に行ってみたかった』というOLさんが圧倒的に多いです。物価面も大きい。少し良いレストランで飲み食いしても3000円程度で、韓国や台湾より安い。味付けも全般的にやさしく、日本人におおむね好評です。さらに治安が抜群に良く、夜道でも安心して歩けるので女性同士でも安心というのは大きなポイントでしょう」(宮本氏)

実際、筆者も治安面には驚かされた。どうしても西欧諸国の場合、スリやひったくりなどに神経をすり減らすことはつきまとうが、治安の悪いイメージがあるロシアで夜間でも安心して出歩けるというのは正直、意外というほかなかった。

「『ヨーロッパみたいだけど、ヨーロッパとはまた違う面白さがある』という意見もよくいただきます。芸術鑑賞、旧日本人街への観光、オシャレなカフェも点在している。登山や展望台などのアクティビティ(春から秋)も含めて、観光資源で見ても男性より、女性ウケするのかもしれません」(同)

滞在中を通して、食事にも舌鼓をうった。ボルシチなど伝統的なロシア料理から、ステーキやイタリアンといった西欧料理、韓国料理の質も高く、安価であり食事面では非常に高い満足度だった。

唯一の不満を挙げるとすれば、ホテルの質だろうか。ホテルの絶対数が少ないこともあり、Wi-Fi環境やサービス面では、日本のビジネスホテルにはなかなか及ばない。宿泊価格が7000円から1万5000円程度であることを踏まえると、少し物足りなく感じた。

ただ、それも増え続ける観光客のニーズに対応し、改善される方向にあるという。

日本政府とロシア観光局の間では、日ロの交流人口を2015年の約14万人から2019年には25万人に増やす共同プログラムも発表されている。自由旅行が解禁され、観光国に変貌し始めたロシア。ウラジオストク以外にも気軽に行ける街は増えるだろうか。

栗田 シメイ ノンフィクションライター

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くりた しめい / Shimei Kurita

1987年生まれ。広告代理店勤務などを経てフリーランスに。スポーツや経済、事件、海外情勢などを幅広く取材する。『Number』『Sportiva』といった総合スポーツ誌、野球、サッカーなど専門誌のほか、各週刊誌、ビジネス誌を中心に寄稿。著書に『コロナ禍の生き抜く タクシー業界サバイバル』。『甲子園を目指せ! 進学校野球部の飽くなき挑戦』など、構成本も多数。南米・欧州・アジア・中東など世界30カ国以上で取材を重ねている。連絡はkurioka0829@gmail.comまで。

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