グーグルが建設する海に浮かぶビルの正体 海上に浮かぶビルの目的は?
建築業に進出?
いったい、グーグルが不思議なビルを立てる目的は何だろうか。
「これはグーグルXと関連がある」と、匿名希望のグーグル社員が話してくれた。グーグルXとは2011年にラリー・ペイジが始めたプロジェクト。ペイジがCEOに就任してからは、共同創業者のセルゲイ・ブリンがリーダーに就任。今でも両創業者が関与する秘密プロジェクトだ。運転手なしで動くロボット自動車、地球のどこでもネット通信を可能にするルーンプロジェクトなど100以上の実験を、グーグル本社から約800メートル離れた研究所で行っている。最近話題のグーグルグラスもグーグルXから生まれたものだ。
グーグルXからは、建築コストと建築時間を3割以上節減できる、革新的な建築デザインオートメーションシステムも開発されている。「ジニー」と名付けられたこのシステムは環境に優しく、しかもユニークな建物をスムーズに設計できるというものだ。
世界の建築市場は、1年に5兆ドルを超えるといわれ、ジニーが市場で稼働するようになれば、グーグルには年間1200億ドルの収入が見込まれると計算するコンサルタントもいる。
グーグルXのプロジェクトの中には、実際に不動産業者が参画しているものもある。グーグルは検索から広告、メール、モバイル事業へと手を広げ、成功を収めてきた。その拡大志向は健在で、デバイス(グーグルグラスなど)、自動車産業(ロボット自動車など)へも進出。さらに、建築にも触手を伸ばすわけだ。
現在、グーグルでは建設関係の新規プロジェクトが目立つ。本社のマウンテンビューキャンパスを拡張する「グーグルプレックス・プロジェクト」が進行中。私立美術館の「グーグル・エクスペリエンス・センター」計画も準備が進む。
技術進歩は早いのに、こうした建築の許認可に足を引っ張られていると感じたグーグル社員が考えた解決策が、ジニーなのだろうか。
確かに、陸上での建築、特にサンフランシスコ湾岸の眺望のよい場所は、不動産価格が高く、許認可に非常に時間がかかり、計画変更を強いられることも多い。
たとえば最近、ウォーターフロントのフェリービル前に高層のコンドミニアムを建築する計画があり、市の有力者が推したものの、地元住民の反対で建築計画が頓挫し、 変更を余儀なくされた。ところが、水上での建築には、市の建築当局に建築計画や使用目的をあらかじめ明らかにしなくてもよく、陸上より許可が厳しくないのだ。
ペイジは今年5月にサンフランシスコで行われたイベントで「50年前の法律によって縛られている」と述べた後、「エキサイティングなことが多くあるが規則のためにできない」と、語っている。
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