しまむらの客離れ続く!デフレ優等生の誤算 既存店の苦戦続き、2期連続の減益見通しに

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しまむらの北島常好社長は2018年2月に13年ぶりの新社長となったが、就任早々苦戦を強いられている(記者撮影)

だが、消費者の目は想定以上に厳しかった。「安くても不要なものは買わないという選別意識が強くなったからか、そこまでお客さんが反応しなかった」(北島社長)。

今上期については、売り上げ減に伴う販促費の追加投入や都市部店舗の家賃が圧迫要因となり、これまで25%前後で推移してきた売り上げに対する販管費比率が初めて27%を超えた。

PBの積極投入で挽回?

外部環境の変化が与えた影響も無視できない。500~600社に及ぶ取引先からの仕入れ品を取りそろえるしまむらは、数多くある商品の中での“宝探し”を醍醐味に感じる固定客を獲得し、業績を拡大させた。ただ、最近は「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」やメルカリを筆頭にネット上での衣料品の売買が普及した。

あるアパレル企業に勤める女性は、「メルカリでは『あのレア商品がこんな値段で売られている』という探す楽しみがある」と話す。都市部・郊外を問わず誰もが豊富なアイテムから好みの品を手軽に探せるようになり、”宝探し“ができるリアル店舗の存在意義は相対的に薄れつつある。

また、同社は頻繁に部門間異動をさせることで知られるが、そうした独特の人事戦略も裏目に出たのか、取引先の間では「(仕入れを担当する)バイヤーもどんどん交代してしまい、最近は素人のような人すらいる。目利き力のある社員が少なくなった」との声も漏れる。

会社側は、価格戦略や広告宣伝手法の見直しのほか、PBの積極投入を進め、秋冬商戦での挽回を図る方針だ。低価格かつ高付加価値を売りに下着やパンツなどを展開するが、こうしたベーシック商品はユニクロや無印良品といった競合の存在も手ごわい。かつての優等生は、めまぐるしく変化する市場環境にどう向き合うのか。再起への糸口はまだ見えてこない。

真城 愛弓 東洋経済 記者

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まき あゆみ / Ayumi Maki

東京都出身。通信社を経て2016年東洋経済新報社入社。建設、不動産、アパレル・専門店などの業界取材を経験。2021年4月よりニュース記事などの編集を担当。

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