五輪ボランティアで対立する「批判」と「喜び」 募集を9月26日に開始、著者2人が激論交わす

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大会期間はすでに決定しており、もう動かせない。暑さ対策は今後の重要課題の1つになるのは間違いない。サマータイムの導入の検討もされているようだが、今のところ具体策は決まっていない。

ちなみに、参考までに国土交通省気象庁のHPで五輪期間中17日間と同じ日の2013年以降の最高気温(東京都千代田区)を調べてみた。13年は猛暑日(35度以上)0日、真夏日(30度以上)13日、夏日(25度以上)4日で、以下14年が5・11・1、15年が10・7・0、16年が1・11・5、17年が1・10・6、今年が4・9・4。

平均すると、猛暑日は3.5日。意外と少ないのだが、34度台も多いので猛暑日35度との違いはあるのか、アスファルトの上はどうかなど、実際の体感、印象とは異なるだろう。

本間氏は新たな搾取のシステムとなることを懸念

以下、少し長くなるが2人の討論の様子を紹介したい。

西川 : リオでも体調を崩した人がいました。そういう時は医務室ですぐ治療を受けられますし、(ボランティアの人向けの)保険に入っていますから還付されます。

本間 : 東京の夏はそんなレベルじゃないからバタバタ倒れて、10人でカバーしていたところを3人ぐらいになっちゃうかもしれない。日本人だから必死に働きますよ。次の日はその3人もいなくなっちゃう。

西川 : リオは場所によっては半分ぐらいしか来なかったところもあった。でも、困難の中でもお互い助け合ってやったんだな、と勉強になりました。

本間 : そもそも、(組織委の)責任者はだれか。酷暑の中で働くボランティアの命と健康を預かる責任者はだれか、どの組織か、教えてほしいというと回答は来ません。そしてスポンサー収入を明かさない、なぜ無償なのか。3回文書で質問しましたが、まともな返答は返ってこない。東京都は議事録すら開示しない。

開示請求したときの議事録は“のり弁“ですよ。誰が何を話しているか分からない。レガシーを残したいと言っていて、無償ボランティアでやろうとしている。今後あらゆるシーンで使っていく、国民からの新たな搾取システムです。

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