メニコン復活、コンタクトレンズ売れる理由 「月額会員制」でアメリカの巨人に対抗

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若年層の視力の低下などもあり、コンタクトレンズの使用者数はここ20年で倍増。日本市場は米国に続き世界2位の規模だ。とはいえ、これまでと同様の成長には限界もある。今各社が取り組むのが、2週間など長い使用期間があるレンズから1日使い捨てタイプへの移行促進と、製品群の充実である。

メニコン東京本社に併設する同社の直営店。店舗では1日使い捨てのコンタクトレンズを積極的に売り込んでいる(記者撮影)

一般的に、1日使い捨てレンズを使う場合に毎月かかる金額は、2週間使い捨てレンズに洗浄用品を加えた価格の2倍以上。しかしコスト以上に手入れ不要という利便性は大きく、メニコン国内営業統括本部・ブランド戦略&市場調査部の吉村良祐部長は、「1日使い捨てコンタクトの市場が急激に伸びている」と話す。

新素材レンズや老眼対応に商機

また、レンズのラインナップを拡充する余地も大きい。より多くの酸素を通すため目に優しい「シリコーンハイドロゲル」という素材のレンズは、市場全体では2週間使い捨てレンズのうち8割で使われている。だが、1日使い捨てレンズで2割にとどまる。メニコンではシリコーンハイドロゲルを使用した1日使い捨てレンズを2016年12月に発売し、今年9月には乱視用も発売するなどの充実を図っている。

年齢が50代に入ると、コンタクトレンズをやめて眼鏡で生活する人が増えてくる。昨今はコンタクトレンズに慣れた団塊ジュニアの世代が、老眼の進む年齢になってきた。各社が需要拡大を期待するのが、「遠近両用レンズ」などの年齢に合わせた製品だ。狙うのは、コンタクトレンズからの“卒業阻止”。遠近両用や乱視用といった特殊レンズは、まだ市場の2割にも届かない規模だが、「今後、1人あたりのコンタクトレンズ装用年数は延びていく」と前出の吉村氏は自信を見せる。

今後は単価や使用年数を伸ばし、人口減少をカバーできるか。競争も一層激しくなりそうだ。

遠山 綾乃 東洋経済 記者

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とおやま あやの / Ayano Toyama

東京外国語大学フランス語専攻卒。在学中に仏ボルドー政治学院へ留学。精密機器、電子部品、医療機器、コンビニ、外食業界を経て、ベアリングなど機械業界を担当。趣味はミュージカル観劇。

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