エアコン各社、「猛暑特需」の勝ち組はどこか 空調メーカーの決算に見る猛暑の押上げ効果

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業績が低調なのにはいくつか理由がある。大きいのは為替のマイナスだ。富士通ゼネラルはエアコン生産を中国とタイに集約している。生産国通貨である中国元とタイバーツが昨年よりも高くなっており、原価を圧迫している。銅やアルミ、段ボールなど資材価格の上昇もマイナス要因だ。設計変更など原価改善も進めているが吸収し切れていない。

そもそも富士通ゼネラルの空調事業に占める国内比率は20%台前半しかない。世界的な地球温暖化もあり、欧米アジア地域では大幅な増加を見込む。ただ、歴史的に得意としてきた中東が経済不振で落ち込んでおり、波に乗りきれないのが現状だ。

「国内だけでは語れない」

一方、好調なのが同じく売上高の9割が空調のダイキン工業。第1四半期の営業利益は831億円で前年同期比11.7%増と2ケタ増を記録した。国内住宅用は5%増、得意の業務用を加えた国内全体の売上高は8%増だった。

「国内は7月以降も順調で8%増のペースを保っている」と会社側。通期の営業利益は2700億円(6.4%増)を見込んでいる。5月に発表した業績予想を変更はしていないが、出足としては悪くない。

ダイキンも空調事業の売上高に占める国内の比率は20%。海外展開が進んでいるのは富士通ゼネラルと同じだが、ダイキンは消費地の近くで生産することを基本方針としており、全世界90カ所以上の生産拠点を持つ。原料価格高騰の影響は受けたものの、規模の経済や高付加価値シフトで吸収した格好だ。

富士通ゼネラルのように人件費の安い国で集中生産するメリットもあるが、ダイキンは気候による需要変動が激しいエアコンの商品特性を踏まえ、サプライチェーン短縮による生産調整の柔軟さや、為替リスクを低減できることを重視している。

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