「脱原発」は、デフォルトのために選ばれたテーマ
先般、上梓した拙著最新刊『それでも「日本バブル」は終わらない』(徳間書店)で分析を示したとおり、ここで言う“未曾有の国難”とは「わが国のデフォルト(国家債務不履行)」という、多くの国民にとって想定すらできない事態しかありえないと私は考えている。そのとき、わが国の政治に必要なのは、タレント議員やら、数合わせのための議員たちではない。
「デフォルトにしなければならないこと」
いかなる困難があろうとも、このことについて、きっちりと私たち国民に対して説明し、決然と行動するプロの政治家集団こそ必要なのである。そのとき、破産処理を施されるわが国の国家財政の引当金として用いられるのは、何を隠そう私たち一般国民の「預金」なのだ。ことカネ勘定となると首を縦に振らないのが、私たちの性である。そのため、「デフォルトせねばならぬものはならぬ」を貫くためには、まずもって別の国民的な問題で圧倒的な支持を得ておくのが得策なのである。そのために選ばれたテーマ、それが「脱原発」だというわけなのだ。
つまり「脱原発」宣言とは、わが国がこれから迎える「デフォルト処理」に向けた挙国一致体制のための重要な一手なのだ。それ以上でも、それ以下でもない。そしてこのレベルの高度に政治的な判断は、「わが国の本当の権力の中心」の気持ちを忖度(そんたく)した経験を持ち、かつそれに沿った形で行動する術を肌感覚で知っている、わが国総理経験者しかできないというわけなのである。
世界を取り仕切る者たちは、そうした流れを、かたずをのんで見守っているはずだ。なぜならば仮にこうした動きを見せるわが国が、万が一にもうまくブレークスルーした場合、国家財政の重圧に苦しみ、極度のデフレへの転落をおそれる各国が、われ先に「ジャパン・モデル」に押し寄せることは目に見えているからだ。そのことはわが国で用いられている通貨=日本円の極端な“買い”という形になって現れ、それによる「円高」が「ほかに投資先がない状況」でわが国における歴史的なバブルを持続的なものにしていく――。
仮にそうであるとき、世界中の富裕層がわが国内に「安全な資金の置き場所(safe haven)」を求めても、まったく不思議ではない。そしてそれは彼らの財産を安全に保管するべく、物理的に外界から遮蔽されている必要があるのと同時に、「海の向こう側」とも陸路・空路で単純な形でつながっている必要もあるのである。しかもできればそこに年中寄り集うセレブリティたちが保養できる場所であることが望ましい。そうしたある意味で相矛盾した立地条件をクリアする場所は、いったいどこにあるのか……。
「そういえば、飛騨には『農道離着陸場』として造られた飛騨エアパークがありますよ。あそこならばセスナでやって来ることも可能なはず」
“荒唐無稽さ”に“荒唐無稽さ”を上塗りしたうえでの夢想と、切り捨てることなかれ。真のリーダーたちは「誰も気づかないところ」からすべてを始め、やがて世界史を動かしていくのである。はたして「小泉脱原発宣言」と「飛騨の夢」がつながるのか否か。未知への扉がひとつまた、そこにある。
IISIA代表・原田武夫の話を直接お聴きになりたい方は、来年1月18日(土)に東京、同26日(日)に大阪で開催予定の「2014年 年頭記念講演会」にお申込みください。
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