「4代目ジムニー」に感じた5つの率直な疑問 走りやメカニズムはどれだけ進化したのか

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新型の4代目ジムニーと先代の3代目ジムニーを実際に乗り比べてみると、走りの差は歴然だという。

新型ジムニーの車体設計者は、個人的に先代モデルを購入して走りの改善ポイントを洗い出した。例えば、いわゆるヒョコヒョコと動く感じや、もっさりとした動きだ。そして高速走行での危険回避能力も含めて、オンロードでの走りの物足りなさを彼も実感していたという。

ラダーフレームの剛性アップが走りに効いている

新型の走りが一気に良くなった最大の要因は、ラダーフレームの剛性アップだ。一般的なSUVはタイヤからの振動や衝撃などの入力をボディ全体で受け止めるモノコック構造。対してジムニーは、梯子状に組んだラダーフレーム構造で力を受け止めている。ボディがその上にのっかったつくりだ。

新型ジムニーはこのラダーフレームの中央部分にエックス(X)形状でのメンバー補強と、フレーム前後にそれぞれクロスメンバーでの追加補強を行い、ねじり剛性は先代モデルの約1.5倍に高めた。

ラダーフレームの強度を上げるXメンバーとクロスメンバー。また、トランスミッションと機械式副変速機との間にドライブシャフト。トランスミッションが大きいとドライブシャフトが装着できない(筆者撮影)

ラダーフレーム構造での課題は、ボディとの接合部分であるボディマウント、ゴム製の緩衝材の動きをどのように抑えるかにある。今回の改良ではボディマウントの形状を変更し、さらにゴム製緩衝材の横方向の動きをしっかりさせてボディのぐらつきを抑えた。一方、縦方向には柔軟性を持たせてボディの動きを吸収した。

こうした改善の目標値については、ラダーフレーム構造で、しかもフロントサスペンションがリジッドであるという制約が大きく、その中で先代モデルをベンチマークとして最大の効果を出すことを考えたという。また、サスペンションでも、構成部品の取り付け位置を変更するなど、新型と旧型には違いがある。

エンジン下部のオイルパンをアルミ化したことで、エンジンとトランスミッションの接合部分が増えた(筆者撮影)

このほか、エンジン下部のオイルパンをアルミ化したことで、ミッションとエンジンとの接合部分が増えたことで、エンジンのぶれが減少したことも乗り心地の改善につながった。

疑問2)なぜ、ハイブリッド車がないのか?

事前予測では、新型ジムニーはスズキがほかの車種で展開しているようにモーター付き発電機(ISG)搭載のハイブリッド車を設定して、燃費を20km/L以上にするのではないか、と言われてきた。この疑問をエンジン設計担当者にぶつけてみた。

次ページハイブリッド車の投入も検討したが…
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