三屋裕子 テン・アローズ(旧シャルレ)前社長

三屋裕子 テン・アローズ(旧シャルレ)前社長

社長就任から3年。元バレーボール日本代表の三屋氏は、創業家の再任案修正動議で他の取締役6人とともに解任された。総会後の記者会見では社員の温かい言葉に涙を浮かべた…。(『週刊東洋経済』7月7日号)

 モスクワ五輪と似た感覚 創業家に恨みはない

1:退任が決まった今の心境と創業家に対する思いは。

 激動に次ぐ激動の3年間だった。やってきたことは間違っていなかったと思う。これからというときで、もう少し結果を見たかった。創業家に対し個人的な恨みはない。経営と資本は分離すべきとの考え方に変わりはないが、悔しいという気持ちは本当にない。モスクワ五輪の日本代表メンバーに選ばれながら、直前のボイコットで参加できなかった。そのときの感覚に似ている。頑張ってメダルがとれるかもしれないというときに、不参加が決まった。どこに感情をぶつければいいのかと複雑な気持ちだった。

2:創業家は株式の56%を保有し、資本の論理だから仕方がないという思いでしょうか。

 法律的に会社は株主のものと解釈せざるをえない。多数決で決まるとの考え方もある。前日の段階で創業家と合意が得られなかったので、総会では議場を混乱させず粛々と進めることだけを考えた。ただ(前半での議長交代など意外な展開となり)株主に自分の思いが十分伝えられなかったのは残念だ。

3:三屋さんだけ役員に残るなど、創業家側と妥協の余地はなかったのですか。

 創業家側から業績不振の責任で私以外の役員が退任すべきと言われた。しかし、業績不振と言われるのなら、まず責任を問われるのは私。中核のシャルレ(下着販売)事業で考え方の違いが大きかった。われわれはリアルなコミュニティ(ホームパーティ形式での訪問販売)を、他社にない強みとして主張した。創業家は新しい販売チャネルが必要だと言う。意見の違う2人が残っても、いずれ同じような混乱を招く結果になる。

4:今、社員へいちばん伝えたいことは何ですか。

 先日社員を集め、経営陣の問題で混乱が生じたが、自分たちがやるべきことをしっかり見て、業績回復の流れを止めてはならないと話した。全国のビジネス関係者の方に不安を与えないよう精いっぱいフォローしてもらいたい。私も株主の一人として会社を応援していきたい。提案できるなら、いろいろな部分で意見を言わせてもらいたい。

5:三屋さんを応援する声も多かったと思います。今後は何がしたいですか。

 本当にうれしかったし、感謝している。現場の声を聞こうと動いてきたので、短い時間だが絆を構築できたのでは。ここのところしばらく寝ていないので、とにかくゆっくり寝たい。オリンピック選手みたいな答えですが……(笑)。走ってきた車が止まった状態なので、どこへ向かい、どういうエネルギーで始動させるのか。まだ思い至らないのが現状です。

(書き手:中村 稔)

みつや・ゆうこ
ロサンゼルス五輪銅メダリスト。1981年筑波大学大学院コーチ学修了、日立製作所入社。86年学習院大学講師。テレビコメンテーターなどを経て、2004年シャルレ(現テン・アローズ)社長就任。48歳。

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