原宿ロールアイス、話題と行列が続く仕掛け あのハリウッド女優もインスタに投稿

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浅野氏によれば、ロールアイスのおいしさは「空気」だという。空気が含まれていることで食感が軽くなり、さらに混ぜ込んだフルーツなどの味や香りが口で広がる。そのため、作りたてのロールアイスがよりおいしいそうだ。

作業にかかる6~7分間は“すてきな体験”

このように、珍しくかわいらしい、自分だけのスイーツを作れるところが、同店の大きな魅力となっている。しかも、1人の客のために1人のスタッフが丁寧にキレイに仕上げるところにポイントがある。作業にかかる6~7分間は、客にとってはイライラする“待ち時間”ではなく、“すてきな体験”だ。作業を動画で撮影する客も多いという。それを見越して、厨房は作業が客から見えやすいようオープンなスタイルとしている。店舗内の1面はカウンターになっており、できあがったロールアイスを受け取ったお客は、ここで写真撮影をしてから、持ち歩きやすい大きさになるまで食べて、あとは店の外に持ち出すことが多いそうだ。

厨房はオープンなスタイル(編集部撮影)

並んででもこのひとときを体験したいというお客は広い世代にわたる。平日は学校帰りの学生、土日には遠方から、家族で訪れる客もいる。

「ハリウッド女優のクロエ・モレッツさんが来たことがあり、インスタグラムにもアップしてくれているんですよ。日本人のあるタレントさんも子どもさんを連れて来られたことがあります。そのほか、どうしても食べたいという孫を連れて、おじいちゃんおばあちゃんがいっしょに来られることもあります」(浅野氏)

とはいえ、小さな子ども連れや高齢者には長蛇の列はつらい。広く楽しんでもらいたいという思いから、支店をスピード展開した。大阪・道頓堀店は本店と同じような繁華街にあるが、もう1店舗のイオンモール堺北花田店はモール内に設けられた店舗だ。郊外駅に直結したショッピングモールで、店舗スペースも18坪と本店よりも広い。やはり客層は他店とがらりと違い、ファミリーが多くなるそうだ。

前述のように外国人からも注目されている。特に午後9時、10時まで営業している本店と道頓堀店には外国人客が多く訪れるそうだ。SNSを見ても「日本のロールアイスはきれい」「特別にかわいい」などと評価が高い。それはやはり、ロールアイスを作る技術の確かさに加え、トッピングなどをかわいらしく仕上げる感性を大事にしているからだろう。また、ロールアイスを作る過程はショーであり、客を“もてなす”時間といえる。自分だけのアイスを作ってもらえた、という気持ちが、価値感を高めているのだろう。

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