ペプシの逆襲で泡立つコーラ商戦

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ペプシの逆襲で泡立つコーラ商戦

縮小が続くコーラ市場の救世主・ゼロカロリー。ペプシとコカの2大ブランド間で戦いが過熱している。(『週刊東洋経済』7月14日号より)

 コーラ戦争が泡立ってきた。糖分を気にする20~40代を対象に、カロリーゼロコーラの広告宣伝が派手に展開されている。

 「よくそこまでやるね、と言われました」。サントリー食品事業部の藤本敦志課長は苦笑する。6月12日に発売した「ペプシアイスキューカンバ」は名前のとおり、キュウリ味。この珍妙なペプシの評判がネットで広まり、一夏にわたって限定販売するはずが1カ月弱で品切れとなった。「ブランドの訴求効果は想像以上」とほおを緩ませる。

 本国アメリカと違い、サントリーが展開する日本のペプシはシェア2割と振るわなかった。しかし昨年発売したカロリーゼロの「ペプシNEX」で風向きが変わる。売れ行きに手応えを感じ、今年度の目標に「ゼロカロリー市場でトップ」を掲げたのだ。

 ペプシNEXは日本限定商品で、レギュラーコーラに劣らない飲み応えが特徴だ。「ダイエットコーラはまずいイメージが強い」ため、発売当初はゼロカロリー表示は控えめだったが、今年から方向転換。人気タレントを起用したCMで「ゼロカロリーなのにおいしい」を前面に打ち出したところ、年初からの5カ月間で前期比1・5倍と絶好調。ゼロカロリー市場ではシェア5割まで急拡大した。

コカも大型商品投入

 もちろん、コカ・コーラも黙っていない。カロリーゼロの「コカ・コーラZERO」を6月4日に発売。先行中の北米では“おいしさ”を強調しているが「日本男性はダイエットにネガティブなイメージを抱く」(日本コカ・コーラのハロルド・メイ副社長)。広告コピーに「日本の男よためらうな」を掲げ、スーツ姿のサムライをキャラクターに採用。女性飲用者の多い「ノーカロリーコカ・コーラ(旧ダイエットコーラ)」とのブランドすみ分けを狙う。

 競争が過熱する背景には、毎年6%減で進行するコーラ市場の縮小がある。一方、ダイエットコーラは2ケタ増で成長、コーラ市場の3割を占めるに至った。サントリーは今年度、ペプシ広告のすべてをNEXにつぎ込む方針。キュウリ味によるブランド強化も追い風となり、NEX単品の年初計画900万箱(前期730万箱)超えはほぼ確実だ。はたして王者コカ・コーラの牙城を崩せるか。

(書き手:前田佳子)

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