【株価下落が直撃】金融機関の保有する株式評価損益の動向


 9月15日の米国証券リーマン・ブラザーズ破綻以降の大荒れ相場は、追い込まれた米国政府が金融機関に公的資金を注入することを表明したこと、欧州各国の危機対策、G7(7カ国財務相・中央銀行総裁会議)が危機対応で合意したことなどを受けて、ひとまず、小康状態となっている。

 しかし、世界的な実体経済の悪化は進攻しており、金融危機そのものも去ったわけではまったくなく、株価も不安定な状態が続く。そこで大手の生命保険会社、銀行が保有する株式の評価損益が3月末の会社公表数値に比べて、9月末、10月10日時点でどのように変わったかを調べたのが添付の表である。

株価急落による保有株式の評価損益悪化
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注) 東洋経済調べ。データは単体ベース、上記の生命保険会社、銀行が3月末時点で保有する株式の株価動向から計算。ただし、上記生命保険会社、銀行が大株主上位30位以内に入っている銘柄のみで計算

 表にはいくつか前提がある。東洋経済新報社の「会社四季報」をはじめとする調査データから、各金融機関が3月末で保有する上場株式を9月末と10月10日時点でも保有していたと仮定して、その株価の変化から、評価損益の変化を調べた。つまり、この間の銘柄の入れ替えは含んでいない。また、大株主上位30位以内の銘柄のみなので、30位以下の少数保有の場合はカウントされていない。しかし、おおよその傾向はつかめる。

 これによると、9月末時点でも株式の評価益は大幅に減少し、みずほ銀行は評価損に転落していた可能性が高い。さらに終値が8276円にまで下がった10月10日時点で評価損に転落した金融機関が続出していたことが推し量れる。4~9月期では昨年度に続いて株式の減損処理が金融機関の収益を圧迫していることが予想される。また、バランスシート上で、資産の減少→負債を削減していなければ資本の減少に結びつく。

 日本は1990年代に不良債権問題の解決が遅れ、98年以降は深刻な地価と株価の減少による資産デフレが資本不足を加速する危機に見舞われた。株価下落が招く金融機関の体力低下に注意が必要だ。
(大崎明子 =東洋経済オンライン)
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