「世界一地価が高い」ニューヨークの住宅事情 価格は高止まり、坪単価3000万円超え物件も

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――有名建築家が設計者であることも重要ですか?

有名建築家が建てたというのはひとつのブランドになりますからね。例えばヘルツォーク&ド・ムーロンの「56レオナルド・ストリート」を買う人にとってはまさにそうでしょう。購入者もタイプが分かれて、クラシックな物件を買う顧客はロシアやアラブ系に多く、ニューヨークの歴史そのものを買おうとします。対して、モダンで実験的な物件には建築家自体のファンも多い。「56レオナルド・ストリート」は室内も非常にモダンで、キッチンはモルテーニというイタリアのブランドの特注なのですが、建築家のディレクションで作っていることを好む人もいると思います。

(左)積み木を重ねたような形が特徴的で、「ジェンガ」という名称で親しまれる「56レオナルド・ストリート」(2016年開業)。設計はヘルツォーク&ド・ムーロン。高さ250m、57階、45戸。地上にはアニッシュ・カプーアの巨大オブジェが置かれている(右)空の映り込みが美しいガラス面
(左)トライベッカエリアでは最も高いビルとなる(右)レセプション。内装はミニマルでモダン
(左)プールも他の共有スペースとあわせてデザイン(右)天井の高いフィットネス施設は人気コンドミニアムの必須条件

――超高層であることも条件の一つなのでしょうか?

超高層じゃないと「眺め」が確保できない

セントラルパークやダウンタウンでは、超高層じゃないと「眺め」が確保できませんからね。ソーホーやトライベッカ、あるいはハドソンリバーやイーストリバーなどのリバーサイドには中層、低層のものもあります。ただリバーサイドでも、複合開発が行われているハドソンヤードはやはり超高層です。ハドソンヤードはハイラインの起点・終点となり、注目を集めているエリアです。リレイテッドという意欲的な開発業者が仕掛けていて、トーマス・ヘザウィックの「ヴェッセル」というハニカム構造の塔など面白い仕掛けもありますが、コンドミニアム自体はノーマン・フォスターなど大御所建築家によるオーセンティックなものですね。

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