マツダのエンジンを他社がまねできない理由 「ロータリー」はトヨタの次世代EVに採用決定
1967年発売の「コスモスポーツ」に初めて搭載されたロータリーエンジンは、車ファンたちを熱狂させた。日産自動車の志賀俊之取締役も「燃費規制が厳しくなり、車がつまらなくなってきたあの時代に、ロータリーエンジンの走りは衝撃的だった」と称賛する。1978年から1985年まで発売された初代「サバンナRX-7」はグローバルで累計約47万台の大ヒットとなった。
スポーツカーとしての実力も伴う。1991年のル・マン24時間レースでは、このエンジンを搭載した「マツダ787B」が総合優勝を果たす。だが、1970年代のオイルショック以降「ガソリンがぶ飲みエンジン」と揶揄された燃費の悪さは、開発陣を最後まで悩ませた。環境規制への対応が困難になり、「RX-8」は2012年に生産終了。以降、ロータリーエンジンを載せた車は販売されていない。
ロータリーエンジンの開発は続く
しかし、「ロータリーエンジンはマツダの財産だ」と小飼社長が語るように、マツダはチームの規模を縮小しながらも、ロータリーエンジンの開発を続けている。2015年のモーターショーでは、「RX-VISION」という名前でロータリースポーツカーの復活を示唆するようなコンセプトカーが登場した(「マツダ、『RX-VISION』でロータリー復活へ」)。マツダのある役員は「ロータリースポーツの開発も続けている」と打ち明ける。しかし、現在は次世代エンジンの開発が最終段階を迎えていることもあり、量産化のタイミングが計れない状況だ。
その中で、先述したように、トヨタが開発を進めるEVのレンジエクステンダーに、小型・薄型という利点を生かして、ロータリーエンジンが採用されることが決まった。ロータリーは低回転時の効率が非常に悪く、燃費の悪化につながるが、発電用エンジンなら、車速に関係なく効率がよい回転数の範囲のみで使えばよいため、大きな弱点にはならない。
トヨタは2020年の東京オリンピック・パラリンピックの大会運営車両としての提供を計画する。ロータリースポーツの復活を望む往年のファンにとってはやきもきするところだが、今もなおロータリーの技術が生き続けていることだけは間違いない。
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