6中央銀行協調利下げでも市場は反応薄、個々の取引相手のリスク払拭が必要


 6カ国中央銀行の協調利下げでも、株価の反応は弱かった。

意味がなかったわけではない。とりわけ、インフレファイターであるECB(欧州中央銀行)がG7(先進7か国財務相会議)に先だって引き下げたことは、戦うべき相手がインフレではなく、景気悪化であることをメッセージとして打ち出すことには成功した。ただ、あまりにも遅きに失した感はある。それに、突出して金利の高かったユーロ、ポンドの場合、0.5%程度の利下げは市場は織り込み済みで、もっと大幅なサプライズとなる下げ幅を打ち出すべきだった。

一方、市場がわずかの間でも安堵しない理由は、短期金融市場のカネ詰まり状態が解消されていないからだ。オーバーナイト物金利やCPの金利は、政策金利が引き下げられても、信用スプレッドの拡大という形で、この効果を削いでしまう。すなわち、リーマン・ブラザーズの破綻以来、金融機関どうしがお互いを信用できず、資金の融通をしないし、企業も信用できないので、企業の発行したCP(コマーシャルペーパー)を買いたくない。つまり、個々の取引相手のリスク(いわゆるカウンターパーティリスク)を疑う不信感が市場から払拭できていないのだ。この短期金融市場の機能が、心臓が血液を送り出すように復活しなければ、経済の血液は滞ったままだ。

米国議会が先週決議した不良債権買い取りを中心とした「緊急経済安定化法案」は、残念ながら評判が悪く、ポールソン財務長官の古巣であるウォール街、とりわけゴールドマンサックスを救済する案ではないか、と批判されている。買い取りなどしなくても、資本注入を行い、徹底した不良資産の時価での処理をさせれば、結果的に、コストは最小に抑えることができる、という意見が優勢になっているからだ。市場の動きを見てみると、欧米の市場関係者は、公的資本注入の是非をめぐるポールソン財務長官の反応に一喜一憂している。

これに対し、7日にFRB(米連邦準備制度理事会)が打ち出したCP買い上げ策は実は、かなり注目に値する。CPは金融機関以外の一般企業でも発行しているから、もはや対象はなんでもありの資金供給である。今年3月のベア・スターンズの危機に際して、証券会社にも広く資金供給を行うことに踏み切ったことに次ぐ大胆な政策だ。ただ動きだしたばかりでもあり、またCPは1.6兆ドルもの発行残高があり、FRBのバランスシート、つまり行き着くところは財政負担への懸念もあり、その効果については市場は判断を留保しているといえる。
(大崎明子 =東洋経済オンライン)

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