楽天イーグルス「観客増で営業黒字化」の背景 ファンがまた来たいと思う仕掛けがある

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ファンサービスを心掛け、自分のグッズの売れ行きを気に掛け、ヒーローインタビューでグッズの購入を呼びかけたりもする。球界には球団職員に尊大な態度を取り、ファンサービスには無関心な大物選手が少なくない。

立花 陽三(たちばな ようぞう)/楽天野球団(東北楽天ゴールデンイーグルス)代表取締役社長。1971年東京都生まれ。外資系証券会社を経て2012年8月から現職。2017年10月からはヴィッセル神戸の代表取締役社長も兼務(編集部撮影)

その中で、イーグルスでは意識改革に成功しているのは、「ファンを大事にしない、球団職員に尊大な態度をとる選手はその選手評価にも反映する、という姿勢をはっきり示しているから」(立花球団社長)だそうだ。

ハード面の投資が一段落した今シーズン、目玉は私設応援団との連携だ。応援を更に盛り上げ、そしてチームを勝利に導くため、球団職員と私設応援団員で応援プロデュースチームを発足させた。

球団職員のうちの一人は、2015年シーズンまで千葉ロッテマリーンズの応援団長を務め、数々の応援歌の作曲を手掛けてきた伝説の応援団長・神俊雄氏である。

今シーズンは180万人の動員を目指す

今シーズンは開幕から4ヶ月間首位を走った昨シーズンをさらに上回る、年間180万人の動員を目指す。

4月3日の東北開幕戦のチケットは即日で完売した。動員目標が達成されるということは、チケットを買えないファンを生むことと表裏一体だ。

次なる課題はチケットが買えない不満をどう昇華させるか。イーグルスの知恵が試されるのはこれからだ。

伊藤 歩 金融ジャーナリスト

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いとう・あゆみ / Ayumi Ito

1962年神奈川県生まれ。ノンバンク、外資系銀行、信用調査機関を経て独立。主要執筆分野は法律と会計だが、球団経営、興行の視点からプロ野球の記事も執筆。著書は『ドケチな広島、クレバーな日ハム、どこまでも特殊な巨人 球団経営がわかればプロ野球がわかる』(星海社新書)、『TOB阻止完全対策マニュアル』(ZAITEN Books)、『優良中古マンション 不都合な真実』(東洋経済新報社)『最新 弁護士業界大研究』(産学社)など。

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