何気ない習慣が「良質な睡眠」を阻害している 睡眠改善の3つのポイントとは?

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ポイント1:昼間に体温を上げておく

人の体温は一定のリズムで変化しています。朝型、夜型の違いはありますが、平均すると19~21時ごろ最も高くなり、明け方4~5時ごろ最も低くなるというサイクルを繰り返します。

深部体温(体の中心部の体温)が下がりはじめると眠気を生じますが、体温が十分に上がっていないとなかなか眠れないということが起こります。

そこで大切なのが日中の活動です。運動習慣のある人に不眠が少ないという報告もあります。1日中座りっぱなし、休日はゴロゴロしっぱなしでは運動不足になるだけでなく、睡眠にもいい影響はありません。立ち上がって活動的に過ごしましょう。体温を上げるには有酸素運動がおすすめですが、ふだん運動習慣がない方は、1駅分歩いてみる、エレベーターやエスカレーターを階段に変えてみるのもいいでしょう。

運動をするなら体温が上がり、筋肉も動きやすい夕方がおすすめです。夜は寝る3時間前までにしましょう。軽いストレッチも効果的です。ただし、就寝直前の激しい運動は、睡眠には逆効果なので注意してください。

入浴で体温を上げるという手もあります。就寝の2~3時間前に39度程度のお風呂に入ることで、眠りやすくなります。ただし、あまり熱いお湯に長時間浸かると交感神経が刺激されるだけでなく、体温が下がりにくくなります。どうしても熱いお風呂が好きという方は、できるだけ短時間で済ませたいものです。

「光」と睡眠の関係

ポイント2:夜はメラトニンの分泌の邪魔をしない

「メラトニン」は、目覚めてから15~16時間後に分泌され、体温が低くなるにつれて分泌量が増え、一定量に達すると自然と眠気が起こるという睡眠に大切なホルモンです。

しかし、「メラトニン」には光を浴びると分泌が停止してしまうという特徴があります。

朝、カーテンを開けて光を浴びることは、「メラトニン」の分泌を停止させ、体内時計のリセットに効果的。ですが、分泌してほしい夜間の停止は困りもの。家庭用の100~200ルクス程度の照明でも長時間浴びると止まってしまうのです。特に青白い光で強く抑制されてしまうので、青白い蛍光灯やパソコン、スマートフォンの光はよくないとされています。

逆に赤みのある光は分泌を抑制しないとされています。夜はできるだけ青白く明るい光を避け、温かく柔らかい光の下で過ごしましょう。

ちなみに軽いものでもいいので、朝食をとるというのも体内時計を整えるのに役立ちます。朝起きて、カーテンを開けて朝日を浴び、朝食をとることで、体は一気に活動モードへと切りかわります。

朝食は軽いものでかまいません。「メラトニン」の生成に効果的なアミノ酸「トリプトファン」を含む食材は大歓迎。トリプトファンをもとに、神経伝達物質「セロトニン」を経てメラトニンが合成されますが、トリプトファンは体内で合成できないので、食事での摂取が大切なのです。

トリプトファンは身近な多くの食材に含まれているので、ふつうに食事をしていれば欠乏することはありませんが、特に牛乳やチーズ・ヨーグルトなどの乳製品、豆腐・納豆などの大豆製品やナッツ類に多く含まれます。生成にはビタミンやミネラル類も欠かせませんので、1日を通じてバランスのいい食事を心掛けましょう。

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