大塚家具と匠大塚、苦悩深まる父と娘の関係 父の「匠大塚」も順風満帆とは言いがたい

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3月26日の株主総会で大塚久美子社長は、株主に何を説明するのか(撮影:今井康一)

3月14日、大塚家具のイベントが開かれた。2017年11月、資本業務提携をした貸会議室運営・ティーケーピー(TKP)と共同で新宿ショールームの8階を改装、新たにイベントホールに模様替えした。

出席した大塚久美子社長は、真珠のネックレスに水色のコートという春らしい装いとは対照的に、どこか疲れた表情を浮かべていた。

直近決算は過去最大の赤字に

無理もない。同社が2月8日に発表した2017年度決算では、過去最大となる51億円の営業赤字を計上。父・勝久氏との経営権をめぐる委任状争奪戦から3年が経ったが、業績悪化に歯止めがかからない。3月26日の定時株主総会で、久美子社長の経営責任を問う声が上がるのは必至だ。

特に深刻視されるのが、資金繰りの問題だ。現預金は、3年前の115億円から2017年末には18億円まで減少。有価証券も切り売りを続け、3年前の71億円から27億円にまで減った。赤字が続いていることで、2016年度からは決算書に継続企業の前提に重要事象がある、との記載もついている。

そこで同社は、創業の地である埼玉・春日部に保有していた広大な土地を売り払い、今2018年度に十数億円の売却益を確保する計画を立てる。

また複数の金融機関と、計50億円を上限とした融資枠を設定。契約締結に当たり、保有する商品在庫、128億円のほぼすべてを担保に差し入れた。

大塚家具は今期に営業利益2億円と黒字化を見込む。達成できれば「ほぼ(融資枠を)使わずに、無借金のまま事業を継続できる」(久美子社長)。

だが、この1〜2月の既存店売上高は前年同月比で10%前後のマイナスが続く状態。賃借料や人件費のコスト削減の効果を考慮しても、黒字化のハードルは高い。

このままいけば、大塚家具が自力で生き残ることは困難だ。残された選択肢は、ファンド傘下での再建か、勝久氏が2015年に設立した匠大塚との連携ぐらいだろう。

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