レピュテーション・マネジメント 内部統制・管理会計・監査による評判の管理 櫻井通晴著 ~企業の不祥事対応で新しい観点を提供

レピュテーション・マネジメント 内部統制・管理会計・監査による評判の管理 櫻井通晴著 ~企業の不祥事対応で新しい観点を提供

評者 早稲田大学大学院客員教授 徳谷昌勇

 レピュテーション(評判)を落とすことで崩壊の憂き目にあう企業が増えてきた。企業存続にかかわるリスクをコントロールし、多くの人々から尊敬されるために、企業は何をすべきか。著者は企業評判を管理することで不祥事を未然に防止できると主張している。

著者は3年前にこの分野について『コーポレート・レピュテーション-「会社の評判」をマネジメントする』(中央経済社)を上梓しており、日本における第一人者である。

前書では、欧米文献に範を求めて、リスク、CSR、指標を中心に文章展開したが、本書は独自の視点から、内部統制、管理会計、監査、CSR、ERM(全社的リスクマネジメント)、バランスト・スコアカードによる「評判の管理」に挑戦した。

本書は3つの部からなり、第1部ではレピュテーションの何たるか(役割と課題)を述べ、第2部では管理会計と経営の手法を使ったレピュテーション・マネジメントを考察した。第3部ではカネボウの粉飾決算、松下電器産業のFF式石油温風機事故、島津製作所・田中耕一氏によるノーベル賞受賞に加え、YKKの世界戦略と、トヨタをケーススタディとしてとりあげて実証する。

著者は、コーポレート・レピュテーションは「企業を取り巻くさまざまなステークホルダーから導かれる持続可能な競争優位性」で企業価値を高める無形の資産と定義し、商品ブランドとの差別化を図っている。

結論として、経営者と従業員の行動に対するステークホルダーからの評判であるから比較的短期間に管理しうる、と主張している。

本書は、企業の不祥事対応を悩んでいる経営者には新しい観点を提供するものであり、一読の価値はある。

さくらい・みちはる
城西国際大学客員教授、専修大学名誉教授。早稲田大学大学院商学研究科博士課程修了。ハーバード大学ビジネススクール・フルブライト上級客員研究員、ロンドン大学大学院(LSE)客員教授、放送大学客員教授、早稲田大学商学研究科・アジア太平洋研究科客員教授を歴任。

中央経済社 3570円  395ページ

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